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「あっ、お、おおお織慧さん!」
「何かしら」
「あの、お願い、します。俺一人じゃみんなもちょっと不安だと思うからさ……」
顔色を伺うようにそうめいくんが控えめな視線を向けた。視線の先は勿論おりえさん。
「……はあ、仕方がないわね。受け入れ難いけれど、一人で出来ることも限られているといえばそうだし。そこまで言うなら、ひとまず付き合ってあげる」
「ほ、本当に?ありがとう、織慧さ──」
嬉しそうに目を見開き、弾んだ声を上げるそうめいくんを「ただし、」とおりえさんが制した。
「あくまで行動を共にするだけよ。貴方達に何かあっても私から助けることはしないと思って。自分達の身は自分達で守ること。いいわね?」
その言葉を聞いて、そうめいくんが笑顔を湛えたままぐっと声を詰まらせる。やがてその顔は諦めたような微笑に変わった。
「……うん。分かったよ。よろしくね、織慧さん」
下手に反論することはせず、そうめいくんは受け入れることにしたみたい。返事を聞いたおりえさんが「それじゃあ」と声を上げる。
「早速行動しましょうか。丁度、最後の彼も名前を告げた事だし」
彼、と言いながらおりえさんがキョウくんを一瞥した。みんなが頷く。
かくして、右も左も分からないけど……わたし達は、とりあえず何処かの部屋に入るのは後にして、一度階段を登って二階を歩いてみようということになった。
「よし……みんな、はぐれないようにね」
そうめいくんが先陣を切って歩き出す。歩を進める寸前におりえさんに小さく手招きのような動作をしたかと思うと、おりえさんもそうめいくんに続いて歩き出した。そしてその後ろをコウくん、みらくん、チヅルちゃん、キョウくん、わたし、それから──。
わたしの後ろ、最後尾から不安げに、そしてどこか躊躇う素振りを見せながらもおどおどとついてくる女の子。自己紹介のときもこんな感じだった。
不安を紛らわせるようにぎゅっと両手でうさぎのぬいぐるみを抱きしめるその姿に、なんだかいたたまれない気持ちになっちゃった。多分、彼女の方がわたしよりもお姉ちゃんなのになあ。
「ねえ、かえでちゃん!」
わたしは歩く速度を落として彼女──
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