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「君は……」
せいの高い男の子が、カスミちゃんを見て呟いた。
大人びた笑い声を上げてカスミちゃんがわたしから身を離す。それと同時にはっと彼女の方を振り返ると、目の前のカスミちゃんは目を少しだけ細めて、見慣れた微笑を浮かべた。そして一歩距離をとって、みんなの顔をまた見回す。
「改めて、みんな、ようこそ。驚いちゃったかな」
「カスミさん、こいつらなんなんだよ。俺、こんな奴ら知らないぞ」
灰色の短髪をした男の子が言った。カスミちゃんはその声にふっと笑う。
「それはそうよ、虹羽くん。だって、みんなはわたしのお友達でも、みんな同士はそうじゃないでしょ?会ったことのない子ばかりなはず」
「ど、どういうこと……?」
みんなより離れたところに立っていた白くて長い髪の女の子が、控えめな声色で問う。ところで、あの小中学生くらいの男の子はコウくんっていうみたいだ。
問いかけた女の子に、カスミちゃんはまた大人びた笑みを向けた。
「それはね、かえでちゃん。ここがどこなのかに関係するの。みんな、聞いて驚いてね。ここは……」
焦らすようにカスミちゃんが口を閉じる。そしてわたし達を軽く見回して、言葉を続けた。
「ここはね、わたしの夢の中よ」
「……え?」
誰かが気の抜けた声を上げた。もしかしたら、わたしだったかも。だって今、なんて言ったの?カスミちゃんの、夢の中……?
「え、でも……っ」
でも、と戸惑った様子で、女の子が声を上げた。わたしと同い年くらいの子で、咄嗟に喋ってしまったのか続ける言葉に悩んでいるみたい。
「なぁに、千鶴ちゃん。焦らなくていいから、ゆっくり話してみて」
「う、うん。……あたしがカスミちゃんと会う時って、いつも、あたしの夢の中で、だったよね?」
カスミちゃんの言葉で落ち着いたらしいチヅルちゃん?が、一歩踏み出して言った。カスミちゃんが頷く。
「うん。そうね、千鶴ちゃん以外のみんなもそう。ここにいる子達とは、今まで、それぞれの夢の中にわたしが訪ねていたの。そこまでは分かるわよね?」
わたしを含めて、何人かが頷いた。ただ黙って、冷静な様子で話を聞いている子もいる。
カスミちゃんが言うみたいに、今までは時々、カスミちゃんがわたしの夢にやって来ていた。それで、一緒に遊んだり、お話ししたり……というと少しおかしな感じだけど、いつからなのか覚えてないくらいにはすっかり慣れてしまっている。ここの子達も、どうやらわたしとおんなじみたい。カスミちゃんのお友達……。
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