揺らぎ【赤】

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ローテーブルを中心に、宮近くんと並んで座る。

コンビニで買ってきた新作のお酒数本を並べ、お気に入りの手土産を渡した。

乾杯をしたらすぐ、興味津々といった感じで質問をされる。
サヤカちゃん、見た目とは違ってぐいぐい来るなぁ。

宮近くんはそんな姿を見ながら親しさをにじませるように、少し申し訳なさそうに笑った。


『あの後ね、こいつらに引っ張ってかれて、朝までコース。マジで大変だった』
「そうだったんだ」


そっか、じゃあ誰かをお持ち帰りしたわけではなく…。

あっという間に警戒心がとけていく。

単純すぎる自分に苦笑いしながら、甘ったるい缶チューハイを口に含んだ。




彼は終始静かだった。

少人数になるとわりと口数が少ないタイプなのかもしれない。


でも、意外とお調子者でもありそう。
適度に入るツッコミが面白くて、毎回無視できずに笑ってしまう。


『海人と仲良さそうだったね』
「かいと？あぁうみくんね、2人で落ち着いてたんだよね」


聞いてきたくせに、ふーんと興味なさそうにスルメをガジガジしている。


『ああいう場って緊張する、俺苦手』
「えー！そんな風に見えなかった、というか、めちゃくちゃ囲まれてたよね」
『それはー、囲まれてただけだよ』


歯を見せて笑うの、なんか打ち解けているみたいで嬉しい。

誰よりもあの場が似合っていたのに、そんなこと言うなんて。

どこまでが本気で、どこまでがリップサービス？
何を考えているのか、分かりそうで、分かりたくない。

そうふわふわと思考を漂わせていられるのは、何より彼との話が心地良い証拠だった。


『そういえば前にAちゃんが着てた服って、あのブランドの？』
「…え！そう、新作が可愛くって」


休日によくふらりと立ち寄るショッピングエリアがある。

ラフな服と綺麗目な服を合わせるの好きで、どちらも手に入れることができるあのストリートはお気に入りだったのだけど。
まさか、入るお店がほぼ一緒だったなんて思いもよらなかった。


意外にも趣味が合っていたから、話に夢中になっていて。
時計が11を指す頃には、緊張感とやらもすっかり溶けてなくなってしまった。

宮近くんのたれ目がさらに甘さを含み、目尻が赤みを帯びる。

同い年とは思えないその色気は、緩んだ胸元からか、まつげの先からか。

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