揺らぎ【赤】

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いつも通りに飲み会は始まったものの、やはりドライブでの会話が引っ掛かる。


ぼーっと物思いにふけっていると、気が付いた時には、結構3人とも酔いがまわってきているらしかった。

ローテーブルの上を行きかう手元が怪しくなってきたな、とまだ冷静な頭で判断する。


冷蔵庫に向かったサヤカちゃんを追うミツキくん。

ふと目を向ければ、涙目のサヤカちゃんが抱き着きながらミツキくんに上目遣い。

というか今にもベッドインしそうな雰囲気で。

ここで始めなくてもと横目でにらみつつも、嬉しくなってしまうのは、二人がそうなることをずっと応援してきたからだ。



「今日で告白してくれなかったら絶対もう会わないから！」飲み会の終わる度にそう言って、やっぱりミツキくんが大好きな彼女は、けなげでとってもかわいいと思う。

なんだか一仕事終えたようにホッとして、手に持ったグラスの中を一気に飲み干した。



こうなるとなんだか気まずいのは私たちで。



ふと宮近くんを見ると、ソファを背もたれにしてグッとのびていた、
ちらっと見えたお腹が白い。

なんだか妙な間があいてしまった。


「やっとだねなんか…」
『結構サヤカの相談に乗ってあげてたんでしょ』
「うん、応援したくて」
『放っとけない二人だよね、くっつきそうで良かった』
「なんか…私たち帰った方がよくない？あの感じ」
『いや、また喧嘩されたら取り押さえないとだから』
「それもそうだね」


顔を見ながら笑い合う。

彼の見せる笑顔は、初対面の時から変わっただろうか。

いや、確実に変わったはずなのに。

この満たされない気持ちを、やりきれない気持ちをどうしたらいいんだろう。

ずっと頭を悩ませている。

何かが足りなくて、でも、その解決方法は一つしか思いつかないんだ。

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