私を振って下さい。２ (ページ6)

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ごめんね、ありがとうページ6

ロビーは人で溢れてて
会場の入り口には

「チョン家 XX家」

という看板があって
すぐに私の決意は弱かったんだと
思い知らされる

私の横を何人もの人が通って中へと入っていくけど
私はどうしても進むことができない
呼吸ができなくて
周りがスローモーションになる

今までのユノの笑顔は
私だけに向けられたものじゃなかったと今更思い知って

もう取り戻すことのできないあの日々が
どんなに素晴らしかったか

その場に立ち止まって
私の所だけ時間が止まったまま

c「俺…ユノ呼んでくるから。ここで待ってて」
「えっ…」

あれからずっと、
頭の中では
「おめでとう」って
そう言って終わりにしようって

何度も何度も唱えるように繰り返していたのに
結局、覚悟はできていなかった私

c「ユノ、Aが来てるから…俺があっちで一緒に待ってるから、タイミング見て来て」

うん、とユノは黙ったまま頷いた

チャンミンが私の所に戻ってきて

「ごめんチャンミン、やっぱり私」

チャンミンが寂しそうな、悲しそうな顔で私を見る

「私、無理かも…」

c「そっか…頑張ったね…ここに来ただけでも」

何度も頷くチャンミンに頭を撫でられ

昔、私とユノとチャンミンと…
３人でいた頃の心地よさが
私を一層、孤独に感じさせるから

ここで泣く訳にいかないし
こう言う時だって、強がっちゃうんだよね
素直に泣けたらどんなに可愛らしいか

ユノの顔を見る自信がなかった
震える全身でやっと立って、
ユノがここに来る前に私は早くこの場を去りたい

久しぶりに履いたヒールで足がジンジン痛むけど
チャンミンにお礼も別れも告げず
私は早歩きになる

後ろから、
私の名前を呼ぶユノの声が聞こえた気がしたけど

その声を聞いただけで、
やっぱり泣けるんだ

やっぱり無理だったよ
ごめんね、ユノ

覚悟を決めて来たつもりだったけど
やっぱり私はまだ
あなたの事を愛しています

今ユノの顔を見たら
叶わないと分かっていても
全部言ってしまいそうだから

ユノの困った顔は見たくないし

私の後ろ姿を見てるかも知れないユノに向かって

ごめんね、と
ありがとうを
心の中で言いながら歩いた