鉛の印 ページ22
私の左手を…
ユノに掴まれた私の左手
鉛のように重い私の左手…
ユノは無言のまま
私も、無言のまま
左手の薬指の印を
ユノは見逃さなかった
y「結婚……したんだね」
「…うん」
y「ごめん…知らなかった」
「うん、言ってなかったから、誰にも」
薬指にはめた結婚指輪は
ユノに見られると
急にキツくなる
私なりにね
表面では進もうと頑張ったんだよ
心は圧倒的にまだユノに支配されたまま
それでも、こんな私を受け入れてくれる人と出会って
置いてかれたような気持ちと
もう会えないんだから、
いい加減自分の道をって言う気持ちと
そこに現れた人との間に生まれたささやかな愛情が
幸か不幸か
私の人生に「結婚」をもたらした
だから本当に、
これが最後だと言い聞かせて
ここに来たんだ
y「そっか…」
遠く遠く、暗くなった海を真っ直ぐ見るユノを見ると
相変わらず胸を締め付けるほど
優しくて、儚くて、寂しげな目を持っている
y「遅かったか…」
胸の底に重りが垂れていく
冷や汗も止まらない
y「俺は離婚したんだ」
波の音が邪魔だね
さっきまで心地よいと思ってたのに
ユノが言った事が
上手く理解できない
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kae ??(プロフ) - 素敵なお話でした。まさかのunhappy end…できれば来世でhappy endになるお話をお願いしたいです。切ないです… (11月7日 21時) (
レス) @page25 id: 94a1840cb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yunomi | 作成日時：2023年8月12日 20時
