私を振って下さい。２ (ページ18)

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そして本当に、さようならページ18

ユノは私を抱かなかった

一度は、一生償うと覚悟した罪を
私もユノも背負わないまま

お互いの上部だけの体温を知っただけで
それ以上進んではいけないと
少しの理性が働いた

ベッドの上で
ふたりして座り込んで

私はこれから自分で自分に
呪いをかけるかもしれない

だけど、これが私の覚悟と
本当の目的だから

「ユノ…」
y「…？」

月の明かりだけで照らされてるくらいが丁度いい
ここに二人でいると言う罪悪感が
ぼやけて見えないくらいの明るさが

「もしね、私の事を大事だと思うならね、」

ユノは、本当は私を抱きしめたいと思っているような眼差しで私を見るから
油断して決心が揺るぎそうになる

「私が前を向いて進めるように…」

真っ直ぐユノの目を見て言った

「私を…」

もう何度も練習したのに
いざこの言葉を言おうとすると
やっぱり泣けてくる

「私を振ってください」

これが、本当のお願いなの
そしてこれが、私の覚悟

「ちゃんと振ってくれないと、進めないから」

その場を濁して逃げても良かったんだよ
でも優しいユノは私が本気だと分かって
もう一度私をキツくキツく抱きしめた

あぁ、ユノに触れるのは
本当にこれが最後になるんだ、
と思った

今までの後悔を埋めるように
ユノはキツく私を抱きしめて
そして、
氷のように突き放した

y「A、俺は」

震えた声がふたりの間に
物理的に距離を作っていく

y「俺、結婚したんだ。だからもう…」
「うん」
y「もうAとは会えない」

y「これが、最後だよ」

本当に、ユノは私のお願いを聞いてくれた

ユノが優しさでくれた
「なんでも願いを聞く券」を
こんな形で使うとは思っても見なかったね

これで私は一生ユノを心の中に置いたまま生きていくんだと、
たった今振られたばかりなのに悟った

呪いのようだね
人を愛するって

「…ありがとう」
y「……A」

そして本当に
さようなら