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『…うっ』
「あ、起きた?」
『……硝子?』
心地のいい声が耳に入る。
目を開くと見慣れた白い天井が見える。
独特のアルコールの匂いに、薬品がずらり。
ここ高専の医務室だ。
「丸2日眠ってたよ」
『え、うそ』
「ほんとよ。毒が完全に抜け切ったみたいね」
『そうだっ…、あの子供は?男の子の』
あの子は無事なのだろうか。
私がしくじったせいで危険に晒されてないだろうか。
「大丈夫、五条が助けに行ったから」
『ご、五条が…?』
「後でお礼言っときなよ」
来てくれたんだ…、
そう思うとなんだかホッとして涙が出そうになったがグッと堪えた。
ガラリと扉が開く。
「起きて大丈夫なのかい?」
『あ、夏油。それに五条も…』
「じゃ、私はこれで」
2人が来たのを確認すると硝子は部屋を後にした。
さっきから五条は下を向いて一向に口を開こうとしない。
『ありがとう来てくれて』
「後遺症は残らないみたいだね、よかった」
『心配かけてごめんね。ちょっと油断しちゃって』
あはは、と笑って誤魔化す。
「…傑、俺こいつと話あるから出てって」
『え』
「悟、君ってやつは……」
「いいから出てけ」
「…そう、じゃあお大事にねA」
五条に強く責められた夏油は、そう告げて部屋から出て行ってしまった。
残された私たちの間に、なんとも気まずい空気が流れ始める。
「お前なに勝手に死にそうになってんだよ」
『えっ』
「俺が助けにいかなかったらどうなってたんだよ」
『……ごめん』
冷酷な蒼い瞳が私を捕らえる。
五条の言う通りだ。
五条が来てくれなかったら最悪死んでいたかもしれないのに。
『助けに来てくれてありがとう、五条』
「…ん」
そう小さく呟いてそっぽを向く五条。
ちょっとは心配してくれたみたい。
やっぱり好きだな〜、って改めて思う。
「お前に死なれたら相談できねぇからな」
『…っ』
なにそれ。
あんたにとって私は、相談相手ってだけなの…?
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皐摩(プロフ) - 胸がギュンギュンしました… (2022年2月15日 19時) (レス) @page50 id: c69f5fedc2 (このIDを非表示/違反報告)
もっち - めっちゃ面白いです。 (2022年1月15日 15時) (レス) @page47 id: ea5533ef50 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 恵 - 目頭が熱盛(?) (2021年10月12日 20時) (レス) @page13 id: f5505c766c (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - 莉亜さん» ご声援ありがとうございます!夏油ルート検討してみようと思います!! (2021年9月29日 2時) (レス) @page41 id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
怜 - えっ好き() (2021年9月23日 22時) (レス) @page38 id: 160a7ef55b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ロゼ | 作成日時:2021年2月20日 21時