20 ページ20
.
辺りはすっかり暗くなり、見上げれば薄らと月明かりが照らし出している。
もうすぐだよ
と、私に振り向き優しい笑顔を見せる。
そんな彼に手を引かれて連れてこられたのは小さな丘だった。
「さ、着いたよ」
『ここ?』
夏油は立ち止まった私を「おいで」と手招きする。
彼のもとに足を進めるとまた私の手を彼の手が包み込む。
「そろそろかな」
そう話すと、近くにあった街灯の光が消え、
『うわぁ、綺麗…』
私の視界に数え切れないほどの星の数々が見えた。
東京の街は光が多くて、星なんてあまり見れることがない。
久しぶりに見た満天の星空に釘付けになる。
「どう?気に入ってくれた?」
『もちろん!すごい綺麗だよ、ほんとに…』
「ふふ、良かった」
そう言って私に笑顔を見せる夏油に少し胸が高鳴った。彼の笑顔がとても綺麗だと思った。
『こんな所があるなんて知らなかった』
「任務の帰りに立ち寄ったことがあってね」
『そうなんだ、任務で疲れててもこんな綺麗な星見たら疲れなんて吹っ飛んでいきそう』
「はは、Aは面白いことを言うね」
美しい夜空を眺めながら他愛もない話をするこの時間がとても好きだ。
これぞ青春、って感じ。
『なんかこういうの憧れてた。普通の高校生って感じがして』
「私たちの仕事は勉強よりも呪霊退治だからねぇ」
『でも夏油や硝子や五条、みんなに出会えたのは本当に感謝してる。毎日賑やかで楽しいしね。
高専も悪くないもんだ』
いひひっ、と私は満足気に笑った。
「私はAに出会えて本当に嬉しいよ」
『へっ?』
「君を見ていると、危なっかしくて手の届く範囲に置いときたくなるね」
『ちょ、それ褒めてる!?』
一瞬でも期待した私を誰か叩いてくれ。
「まあまあ、君のおかげで毎日楽しいってことだよ」
『もう…、それなら良かった』
「(こんな気持ちを初めて知ったのも君のおかげだけどね)」
.
2635人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
皐摩(プロフ) - 胸がギュンギュンしました… (2022年2月15日 19時) (レス) @page50 id: c69f5fedc2 (このIDを非表示/違反報告)
もっち - めっちゃ面白いです。 (2022年1月15日 15時) (レス) @page47 id: ea5533ef50 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 恵 - 目頭が熱盛(?) (2021年10月12日 20時) (レス) @page13 id: f5505c766c (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - 莉亜さん» ご声援ありがとうございます!夏油ルート検討してみようと思います!! (2021年9月29日 2時) (レス) @page41 id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
怜 - えっ好き() (2021年9月23日 22時) (レス) @page38 id: 160a7ef55b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ロゼ | 作成日時:2021年2月20日 21時