Love or Lies (ページ44)

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頭を撫でられる感覚に目を覚ます。

廉「…おはよぉ、」

『おはよ』

いつからそんな悲しそうな目で
私を見ていたの？
なんて、言えないから。

『………ねむっ』

廉「二度寝しますかお姉さん」

『や、廉、おくらないと』

廉「なにその使命感(笑)」

『何時に出るの？』

廉「あと30分」

『え！なにしてんの、早く起きなよ』

廉「お前との時間の方が大事やなって思ったから。」

昨日よりも強く、強く抱きしめた。

『嬉しいけど、マネージャーさんに怒られるよ』

廉「ははっ、せやなーそれは嫌やわ。」

そう言って立ち上がった彼の目は、
少し腫れていた。

廉「…あ、目パンパンやで。冷やして帰ってくるまでには収めとけよ～(笑)」

『…………………うん、わかった。』

廉「…ん。」

廉「じゃ、行ってきます」

靴を履いて、マスクをつけて、キャップを深く被る。
これが、私がみる最後のあなた。

『…まって』

廉「ん？」

マスクを顎にかけ、
ちゅっと軽くキスをした。

『…行ってらっしゃい。』

なるべく、なるべく笑顔を

廉「ん。行ってきます。」

頭をわしゃわしゃ撫でられ。
ドアが開いて。

彼は行ってしまった。

泣かないように、直ぐに荷物を詰め始めた、
のに。

『………おかしいな。入んない、』

初めはこのボストンバッグの半分しかなかったのに。
パンパンになって、入らなくなってた。

『…なんで、っ、入ってよ………』

ぼろぼろ涙がこぼれて、
止まらない。

たった2ヶ月だった。
だけど世界で1番いい2ヶ月だった。

きっとこれ以上の幸せなんてやってこない。

悲劇のヒロインになろうとしてる訳じゃない。
私も、あなたと一緒に居れたら何もいらない。

だけど、私は弱虫だから。
母を、あの人を捨てることが出来ないんだ。

無理やり荷物を押し込み、
置き手紙もLINEもなにもせず、
私は。

この街を去った。

電車の途中、1件の連絡が入った。

廉 : 今日、はよ帰れそう！

との事だった。

私はその連絡に既読もつけず、
連絡先を消去した。

『………ありがとう。さようなら、』

いつか、また会えたらいいね。なんて。