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『ほんとは、好きで。好きでたまんないよ。ずっと。離れてからもずっと。東京に来た時も、会えるんじゃないかなってどっかで楽しみにして。それで、それで……………』
「…………A、何してんの？」
その瞬間、廉が私を引き離した。
『………なんで、ここいるの。』
「嫁に会いに来ちゃダメなの？」
『……………』
「びっくりした。浮気現場見ると思わなかったわ。」
「ねぇ、永瀬さん」
廉「……………」
「あの時から、知ってましたよ。2人が知り合いで、そういうご関係だってこと。」
「ねぇ、教えて。俺になんで黙ってたの？」
彼が、私の腕を強く握って、
引き寄せて、
「この花、なに？」
『………貰った』
「誰から？」
『……………』
廉「……すんません、俺です」
「…………君、どうしたいの？衣装の会社の婚約者にこーやって近づいて」
廉「…逆です。俺の好きな人が衣装の会社の社長の婚約者やったんです。すみません、もうしないんで。てか、もう会わないんで」
『…………』
もう会えない。分かってるのに、
「…この花、お返しします」
『えっ、なんで！』
「…なんで逆に貰うの？必要ある？」
『だって、廉が、せっかく』
「いい加減にしろよ！いつまでも違う男にしっぽ振ってんじゃねぇよ！なんで俺の方見ないんだよ！こんなに尽くしてやってんのに！なぁ！！！こっち向けよ！！！」
こんな彼、見たことなくて
怖くて、ただ怖くて、下を向いて静かにこの瞬間を終わるのを待つしかできなかった
廉「………なんで好きな女にそんなこと言えるん？」
『………廉、もういいから、はやく、逃げて』
廉「…は？逃げる？」
薄々気づいてた。
この人が束縛魔だってことも、
D Vをするような人だってことも
こんなことされるのは、私だけでいい。
傷つくのも、泣くのも、私だけでいい。
どうしても、私は、廉が好きだから
だから、ここで別れて、離れて、
それで守りたかったんだ。
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作者名：yuma | 作成日時：2021年3月2日 0時
