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メ「…その後すぐ、頭を下げて出ていかれました。」
『……………廉、』
メ「苦しそうに、笑ってました。だけど、A様の幸せを願って、」
『…………………私、』
メ「世界一、綺麗にしてみせますね。」
泣いてボロボロになった私に
そう微笑みかけてくれた。
メ「………私の親が、」
『え？』
メ「私の親が、政略結婚なんです。」
『………………』
メ「ふふ、間違ってたらすみません。もしかしたら、と思って」
『………合ってます、(笑)そうなんです』
メ「でも、今とっても幸せそうです」
『……………』
しあわせに、なれるのかな。
メ「でもたまに、父が寂しそうな顔をしています。」
よくよく聞くと、お父様が恋をしていたのは、
私と同じように叶わぬ人、だったらしい。
そんなとき、お母様と出会って結婚した。と。
メ「父が昔言ってました。半分、好きじゃないまま結婚してしまった。それをわかって母が結婚した、それが申し訳なくて苦しい。と、」
『………………』
メ「幸せの形って、それぞれ違うと思います。それに、2番目に好きな人と結婚するのが、1番いいって聞いたことあるんです」
メ「A様が幸せになれるよう、精一杯お手伝いさせてください」
『………ありがとう、ございます』
『…2番目、か。』
私に、2番目などない。
1番しかないんだ。
寂しくて、苦しくて、会いたくて。
花束をギュッと抱きしめて、
また静かに泣いた。
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作者名：yuma | 作成日時：2021年3月2日 0時
