Love or Lies (ページ20)

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「わざわざこちらまで来てくださってありがとうございます…！さぁこちらに！5人分置いてありますのでお着替えしてもらって、後でこちらの部屋に入ってください。」

まばらなハイという返事が聞こえる。
あのハスキーな声は紫耀くんだ、
あの高い声は海人くんだ。

あの関西弁は………

廉「…あ、そこのお姉さん、すんません先着替える前にトイレ貸してもら…い、たいんすけ…どぉ……」

『…………私、職員じゃないのでちょっとわかんないんで、待ってください』

廉だ。目の前に、廉がいる。
こんなにも会いたかった人が、目の前に。

廉「え、ちょお待って、なにして」

「永瀬さん、どうされました？」

『トイレどこ？って』

「あぁ、突き当たり右ですよ。」

廉「…ども、…………あの、ふつつかなこと聞きますけど…」

「はい？」

廉「…その横の女性は…？社員じゃない言うてたんで…」

やめて、聞かないで、言わないで

「あぁ、婚約者です。」

廉「……婚約者、」

「社員じゃ色めきたって仕事にならないので。」

廉「ふふ、えらいお気遣いありがとうございます、じゃあ先トイレ行きますね。」

彼が私の横をとおりすぎた時、

廉「……おめでとうさん」

という声が聞こえた気がした。

『………………』

どんなふうに思われたんだろう。
私は、隣に立ってる婚約者の目線に全く気づかず、
廉のことばかり考えていた。