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そして訪れた球技大会当日。「ハイ、出来たよ!」と告げた友人が私の顔の前に鏡を持ってきた。鏡に映る自分の髪は緩く巻かれ、高い位置でキツく一つにくくられていた。同じチームのみんなも同じ髪型に統一されている。
「ありがとう、相変わらず器用だね。」
「いえいえ。星海くんに可愛く見て貰わなきゃだし?」
からかう友人を小突く。そんな私達に「もう移動しようよ〜。」とチームの子が声をかけたから、私達はグラウンドへと移動した。
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全校生徒が集うグラウンドで先生や体育委員からの話を聞き、ゲーム開始の時間が訪れていた。
私達のチームは3試合目だから、とりあえず余裕がある。私は友人と一緒に隣の体育館で行われるといううちのクラスの男子の観戦に行くことにした。こっちの体育館はやけに人が多い気がする。
何でだろうと話しながら試合の見える位置まで移動していると、よく見える位置に光来くんと昼神くんが立っていた。2人もこちらに気づいて、昼神くんが「やっほ〜。」と手招きしてくれる。
「2人共可愛い髪型してるね。似合ってるよ。ね、光来くん。」
楽しそうに笑う昼神くんに話を振られた光来くんは、私を見て立ち尽くしていた。なんといわれるだろうかと緊張する私に、彼は少し笑う。
「ああ、よく似合ってる。」
「……ありがとう。」
光来くんの言葉に私は笑った。真っ直ぐ伝えられた褒め言葉はくすぐったくて、同時に嬉しくて、緩む頬が押さえられない。そんな私達の横で、選手達が「お願いしまーす!」とネット越しに挨拶を交わした。どうやら試合が始まるらしい。
コートに目を向けると、誰より一段と大きい白馬くんの姿が目に入った。辺りから「頑張れ芽生−!」と言う声が響いている。なるほど、彼がいるからやけに人が多かったのか。
「(人1)さん達試合いつ?」
「3試合目。2人は?」
「え"、残念。俺達どっちも3試合目だね。」
濁った声を上げた昼神くんと、静かに眉をひそめている光来くん。私も彼らの1試合目が見られないことに肩を落とした。まあ2人のチームはきっと勝ちあがるだろうし、その時見られるはずだ。
話し込む私達の横で、豪快な音が叩きつけられた。見ると白馬くんがスパイクを決めたらしい。「2mズリィぞー!」と野次が飛び交い、「真剣勝負だからな!」と笑う白馬くん。隣でけたけた笑う昼神くんに釣られて私も笑った。
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ましゅ(プロフ) - さいっこうに最高なお話でした。2人のよさも可愛さもギュッと詰まってて、光来くん〜〜〜〜!!!って悶えました、天才です……幸郎も解釈が一致すぎて……ギュンギュンしました、最幸のお話をありがとうございます!! (2021年4月30日 3時) (レス) id: 01c5a5310c (このIDを非表示/違反報告)
なつなつき(プロフ) - お誕生日!!!最高です!ありがとうございます!! (2021年4月17日 9時) (レス) id: 299227e86e (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» 楽しみにしてますね!ゆっくりで良いのでこれからも頑張ってください! (2020年5月8日 8時) (レス) id: 2b0a425061 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - あおりんごさん» 1番だなんて勿体無いお言葉です…!嬉しすぎます…!コメントありがとうございます、とても自身と励みになります…。楽しんでいただける作品を提供できて幸せです、!コメント並びにご愛読いただきありがとうございました。これからも頑張ります〜! (2020年5月8日 1時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - 紫音さん» レス遅れちゃってすみません…!ずっと応援していただいてありがとうございましたぁぁ…!紫音さんのお声に本当に励まされました(*´`)絶対また作ろうと思っているので、その時はまたぜひお付き合いください、!本当にありがとうございました…!! (2020年5月8日 1時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2020年3月30日 23時