【戦国BASARA】短編集

松永久秀 ページ13

(松永さんside)



「ここから逃げるのは諦めたのかね？」

鎖に繋がれた足を、体の内側に丸め、
頭まで布団で覆い隠したAを見る。

恐怖からなのか小刻みに震えていた。

「なに、それならそれで良い。
逃れたところで、卿を探す者はもういるまい。

卿の捜索などとうに終わっているよ。」

私の言葉にAは目を見開いた。
目の縁からは雫が零れていた。

そのような顔もまた至極、至極。

「別段、気に留める必要はないだろう。
そのようなもの、卿にはいらないよ。違うかね？」

反抗するように声を出そうとする
Aの頬を撫でる。

そして、両手で顔を挟み、
ぐいっと、自分の方へ近づけた。

「違わないだろう。卿は考えなくていい。
このまま、この部屋で、私だけを待っていたまえ。
いいかね?」

暗い眼をしながら頷いたAに、
満足感を覚え、髪を撫でる。


＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__________
卿は私のモノだよ...A。

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