きっと息をやめるまで 2【RKRN】 (ページ33)

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部屋の外は、月や星がぼんやり夜を明るくしていた。

私は縁側に脚を外に放るようにして座り込んだ。

そのまま星の瞬く空を見上げる。

私の住んでいた村より標高の高いところなのか、村よりも空が澄んで星が綺麗に見えた。

撫でるように緩やかに風が流れる。

寒くも暖かくもない。心地よい。

ふと視線を宙ぶらりんになっている両脚に落とす。

このまま地面に脚を着いて歩いたら、外に出られるだろうか。

今座っているところから地面までさほど距離はない。すぐに足がつける。

もう夜も更けて、皆寝静まっているだろう。

昼間には時折聞こえていた人の声や足音がすっかりないのが証拠だ。

その時、背後から声がした。

｢…A、…さん？｣

ゆっくり振り返ると、そこには寝間着姿の男の人が私の方を見て立っている。

確かこの声と顔、どこかで…

｢……ど、い…？｣

昨日の夜、山本さんが部屋にやってきた男の人2人と話していた時の、“山田先生と土井先生”が思い当たった。

｢あれ？私の名前を知ってるのか。…山本シナ先生にでも聞いたのかな｣

ははと笑いながら、土井という名前で合っていたその人がこちらに近づいてくる。

私のすぐ傍で立ち止まり、｢眠れないのかい｣と静かに問いかけてきた。

少し乱れた髪の毛に、きっと寝起きなのだなと思いながら｢はい。なので少し夜風に当たろうと思って｣と答える。

｢そうか｣

土井さんは少し間をあけて隣に、私と同じようにして縁側に座った。

2人とも顔を合わせず外の景色の方に目を向ける。

｢元気そうでよかった｣
｢…｣
｢そうだ、食堂のおばちゃんのご飯はどうだった？｣
｢……美味しかったです。とても｣

そうだろう、と一方的に楽しげな土井さんの顔を、私は横目で盗み見た。