検索窓
今日:10 hit、昨日:21 hit、合計:57,793 hit

3 ページ29

「小松田くん。どうしたんだい?」

部屋の前で止まった小松田に、土井先生が振り返る。


「土井先生。利吉さんを探してて…」

小松田はそこから部屋の中を覗き込み、利吉の姿を認めると「あ、利吉さんいた!」とそちらに視線をやった。


「利吉さん、学園長先生がお呼びですよ」


学園長先生が?と3人は顔を見合せた。




*





学園長先生の庵にて。

呼び出された利吉が立つ前で、学園長先生は机に向かっていた。

「これでよし、と」

利吉とヘムヘムが見守る中で、学園長先生は文に印を押した。




「学園長先生、私に御用があると伺ったのですが…」


「うむ。そうじゃ。実は頼みがあって…」
学園長先生は言いながら、文の紙を折りたたむ。

そして懐からもう一通、文を取り出すと2つ重ねて利吉の方へ差し出した。




「この文を二通とも同じ場所の同じ人へ届けて欲しい」




利吉は手紙を少しばかり見つめたあと、手を伸ばしてしっかりと受け取った。


「…宛先は」


「おおっと、忘れるところだった。この場所じゃ」

そして、場所の書かれた紙をまた懐から取り出して利吉に渡す。




「急ぎで、なるべく早い目にお願いしたい」


「承知致しました」



二つ返事で了承し、利吉は紙に書かれた場所を軽く確認する。





(…ああ、あの辺りなら…今度の忍務の場所と近い。下見ができそうだ)



考えながら、受け取った二通の文を丁寧に懐へ仕舞い込んだ。





「急にすまんのう。本当は先生の誰かに頼もうと思っていたんじゃが、みんな忙しそうで頼みづらくて…」

学園長先生は、「授業が遅れてしまいます!」と困りながら自分に文句を言ってくる先生たち(主に土井先生と山田先生)の顔を思い浮かべる。


「いえ、これでもフリーのプロ忍者ですから。依頼ならご遠慮なく」

利吉は屈託なく笑った。



「それじゃあ、頼んだぞ」
「はい」


真っ直ぐな返事で会話は終わり、利吉は気を引き締めつつ庵を出た。

4→←2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (73 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
72人がお気に入り
設定タグ:忍たま , rkrn
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年4月6日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。