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次に包帯を巻いてない方の左手を新野さんに見せ、そこから脈や体温を測られる。
新野さんはまた紙に何かを書き付けながら、私に言う。
「まだ少し体温が低いかもしれませんね。
…それでこれからのことなんですけど、Aさんにはまず栄養失調を治してもらおうと思います」
「…はい」
「いきなり普通の量を食べるのは体に良くないから、ちゃんとしたご飯を毎日少しずつ量を増やして食べてもらいます。
栄養失調がちゃんと治るまで…短くて1週間、長くて2週間と少し。
けがのこともありますし、3日間は絶対安静です。必要なこと以外にあまり動かないように」
3日間は絶対安静。
栄養失調が治るまでは早くて1週間。
「…ということは、私はその間ずっと
私は視線を畳に落としたまま、新野さんに訊く。
「学園長先生は“あなたが治るまで”と仰ったので、そうなりますね。
あと、Aさんのけがの状態を見た伊作くんや山本シナ先生も、けががちゃんと治るまでは2週間くらいかかるだろうと言っていましたし、そのくらいの期間は忍術学園に居てもらうことになります」
「2週間…」
今の私にとっては、途方もなく長いように感じる。
少し焦ってくる。
一度決めた心が揺れてしまうんじゃないかと怖い。
どうにか2週間から早める方法を探すべきだろうか。
「まあ焦らずゆっくり治せば大丈夫だよ」
伊作さんが優しく私に声をかけるが、そういうことではない。
けれど、私は静かに「ありがとうございます」と呟く他に選択肢はなかった。
「それじゃあ、ご飯冷める前に食べちゃおうか」
伊作さんの明るい声の後、保健委員のみんなは「いただきます!」と息ぴったりに手を合わせた。
私もワンテンポ送れて、「いただきます」と手を合わせる。
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年4月6日 16時