格子から見上げる世界 壱 青×緑 桃×赤 橙×黄

No.46 ページ43

まだ早鐘を打つような、嫌な音を立てる胸を抑えて

 

自分の部屋の畳の上に座り込む

 

 


 

「はぁはぁ…なんなんやろ

あのお人

優しそうに見えるけど…」

 

 

 

やっぱりお腹の奥底が冷たく冷えるのが分かる

 

 

「淳太くんにお礼言わなな

助けてくれた」

 

 



それにしても、さすが天下の花魁やな

 

 
 

あないな上手い切り返しで俺を助けてくれて

 

お客様にも嫌な思いをさせへん

 


 

 

「はぁ…

やっぱり淳太くんは綺麗なだけやのうて

頭もええし、芸事も優れてるし

俺もあんなふうになれるんやろか…」

 

 


 

なりたくてなった職業やないにしても

 

あんなに艶やかで、頭のキレる淳太くんを見てしまうと憧れは抱く

 


 

 

「濱田さんのことは考えんようにしよ

なんや、お店にとっての大切なお人みたいやしな

下っ端の俺には関わることは無いやろな

ふぁ…

なんや変な緊張したから疲れたわ」

 

 


寝よ寝よ

 



 

そんなことを呟き

 

お化粧を落とすのもソコソコに布団に潜り込む

 

 
 

濱田さんのあの、瞳を打ち消すように

 


夢でもええから流星に会えへんかな

 

 

そんな事を考えながら

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