格子から見上げる世界 壱 青×緑 桃×赤 橙×黄

No.4 ページ5

目の前で舞う淳太くん

今はお座敷中だ

 

あぁ…綺麗やな…

 

思わず見惚れてしまう

 

 

横をチラリと見るとあっくんが嬉しそうに淳太くんを見上げてる

その目は本当に優しくて、あぁ…愛してるんやろなって分かる

 

 

拍手で締めくくられる

 

 

 

 

 

「もんちどないしてん？

今日はボーとしてるけど」

 

 

 

「あっくん…またその呼び方する

今は緑翠やもん」

 

 

 

「もんちこそ『あっくん』て呼んでるやんか

俺の中でもんちはもんちや」

 

 

 

人の良さそうな顔でそう言うと淳太くんを美しい所作で自分の横へと迎える

 

 

 

「黃珀、今日も綺麗やったで」

 

 

 

「桐山さんウチの子虐めへんでくれますか」

 

 

クスクス…淳太くんも虐めるなと言いながらも楽しそうに笑う

 

 

 

「虐めてなんかないで

なぁ、もんち

あっ！せや！これな甘いもの好きなもんちに」

 

 

 

懐から包みを取りだし渡される

開いてみるとそこには

小さな色とりどりのお星様

 

 

 

「金平糖って言うんやで

砂糖菓子やな

食べてみ

甘くて美味しいで」

 

 

「…綺麗

キラキラしてる

んっ…わっ！あまくて美味しい

あっくんおおきに！」

 

 

 

「ハハ…現金やな

さっきまでほっぺ膨らましとったのに

気に入ってくれたなら良かった」

 

 

 

 

「黃珀にはこれを…」

 

 

そっと取りだしたそれは

俺の目に見ても高価だと分かる髪飾り

 

 

 

「ほら、その綺麗な亜麻色の髪によう似おてる」

 

 

 

髪にあてがうと愛おしそうに淳太くんを見つめるあっくん

 

 

「あきませんよ

こんな高価なもの」

 

 

 

そうは言うものの嬉しそうに見つめ返す淳太くん 

 

 

 

 

あぁ…不思議な光景や

春を売る花魁と

金で恋を買う客

 

 

ただそこには欲望しかないはずなのに

 

目の前の二人はとても美しく見える

 

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