格子から見上げる世界 壱 青×緑 桃×赤 橙×黄

No.29 ページ27

「とも…とも…

夜が明けるで」


 

 

そっと体を揺すり、ともを起こす

 

少し俺の腕の中で身じろぎし

パチリと瞳が開く

 

 
 

「んっ…おはよ…

流星の腕の中はあったかいな

気持ちよくて、いっぱい寝ちゃった」

 

 
 

「俺もともを抱きしめとったら、あったかくて気持ちよかったで」

 


 

「なんや、それ

俺を猫かなんかやと、思ってるやろ」

 



 

プクッと頬を膨らませてしまう、とも

 

 

その可愛らしい頬に先程触れたと思うと、カッと体に熱が走りそうになる

 

 


 

「そないな事、思ってへんよ

寝顔が可愛ええなって…」

 

 
 

「もう！そうやって揶揄う」

 

 

 

「揶揄ってなんかないで

ほら、大きな声したら見つかってまうで」

 




「あっ、そやった

ごめんなさい」

 

 

 

「ほんなら、俺は名残惜しいけど帰るな」

 



 

「うん…流星

お星様の約束忘れんとってな

金平糖の方やないで…」

 

 
 

「忘れるわけないよ

大切な、ともとの約束やから」

 



 

ニコリと笑い嬉しそうに頷いてくれる


 

 

 

「藤井様

本日は、ほんまにおおきに

楽しい夜を過ごさせて頂きまして

またのお越しを心待ちにしておりますよって

表まで送りますね」

 

 

 
 

緑翠として綺麗にあいさつをしてくれる

 

 

その姿に少しだけ心が痛がったのは、俺だけの内緒やな

 

 


 

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