格子から見上げる世界 壱 青×緑 桃×赤 橙×黄

No 26 ページ24

「ほら早く！流星」

 

 


 

二人で見つからないように慌てて俺の部屋に入る

 


幸いにも淳太くんについている俺は
淳太くんの部屋から近い場所に自分の部屋を貰っている

 


 

本当は個人の部屋なんて貰われへんのやけど

一番の売れっ子の淳太君に可愛がってもらってるし特別なんやろな

 

 

 

 

「はぁ…見つかってへんよな

なんや悪いことしてるみたいでドキドキするな」

 

 

 

「緑翠…

俺、黃珀さんに見つかったら殺されるんちゃうか」

 

 
 

 

「クスクス…どんだけ黃珀姐さんの事、怖がってるねん」

 

 


 

「やって、あの目は本気やった

黃珀さんに俺が勝てるわけないやろ

この郭だけやなくて、色街でも一番と名高い花魁やで

どこぞの身分の高い方も、惚れ込んで通うてはるなんて噂も聞くんやから

そんな方と渡り合ってるお人に俺は勝たれへんよ」

 

 



「へ〜

姐さんそんなに有名なんや

なんや俺まで嬉しなるな」

 

 


 

「俺…」

 

 

 

 

「あっ、ごめんなさい

お客様の前で俺だなんて」

 

 


 

「いや、嬉しいよ

緑翠…

それだけ自然でいてくれるって事やろ」

 

 


 

「うん…俺、このままでもいい？」

 

 

 


「そのままの緑翠を見せて…」

 

 


 

「……とも…」

 

 

 

「んっ？とも？」

 

 

 

「俺の名前…ともって言うねん」

 

 


 

「『とも』がそのままの俺やから」

 

 


 

「とも…」

 

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