流石なんて聞き飽きた【zm】 ページ23
「流石ゾムさん!」
「さすゾム」
「流石味方最大の脅威」
その言葉、もう聞き飽きたわ。
昼休憩、俺は1人木の下でそんなことを思う。
ここは誰も知らない昼寝スポット。
考え事をしたかったり、なんとなく1人になりたい時にここへ来ては、木にもたれかかる。
『昔は皆もっと驚いたり、褒めてくれたのにな…』
いつからだろう。
俺がどれだけ頑張っても、できて当たり前みたいに思われるようになったのは。
流石と言われるのも嫌ではない。
けど、皆みたいに俺だって褒められたい…
「あ、いた。ゾームーさーん!」
『…A』
すると、遠くの方から大きな声で俺の事を呼ぶ奴がいた。
…訂正するわ。コイツだけはこの場所を知っている。
何故なら俺の専属メイドやから。
「聞きましたよ?今日のバトロワ無敗らしいですね」
『…流石、やろ』
彼女が言ってるのは今日の公開訓練の話だ。
訓練のモチベ上げに、月に1度観客を混じえて皆で弓でバトロワをするのだ。
3戦したが、全部俺の勝ちに終わった。
どうせ言われる言葉を俺は先に言うと、彼女は容赦なく、座ってる俺の額にデコピンをかました。
『っ…なにすn』
「なぁにが流石ゾム!よ。あの観客達頭おかしいんやない?」
『え…』
「確かにゾムさんは強いかもしれない。けど、他の人が勝てないわけでもなさそうやった」
彼女は訓練所の2階の観客席から様子を見ていたようで、感想を口に出していく。
「ゾムさん、全力だった。偶に周り見えてなくて危ういところも何とかあったの、私、実は2階から見てたんです」
…確かに、彼女の言うとおり何度か後ろを取られたりした。1ミリも気を抜いたつもりはない。
「だから、流石ゾムじゃない。
凄いゾム、ナイス!ゾムさん!」
Aはニッと笑い親指をグッと立てる。
俺が欲しかった言葉…
「わ!えっ、ちょ、ぞ、ゾムさん!?」
『ありがとう、ありがとうA』
思わずぎゅっと抱きしめると、困惑した声を出すA。
『俺、Aに褒めてもらえて嬉しい』
「…そうですか」
『照れとんのも可愛ええなぁ!』
「あーもー!離れてください!」
彼女は元気の無い俺を励ましに来たのだろう。
いつものテンションに戻ると、仕事に戻ると言って行ってしまった。
『ほんま、不器用やなぁ』
ま、こんな俺が言えた口でもないけど…
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雪村(プロフ) - ゆうきさん» ゆうきさん、コメントありがとうございます。emさんは1番優しい世界感を重視して書いたのでそう言って頂けて嬉しいです!ほんとですか、それは良かったです...!本当に最後までご愛読ありがとうございました。またどこかで出会えましたら嬉しいです...! (2021年3月22日 12時) (レス) id: 269a7df98c (このIDを非表示/違反報告)
雪村(プロフ) - みかげさん» みかげさん、コメントありがとうございます。わ、shoさんの作品を最高と言って貰えてとても嬉しいです!優しい心遣いもありがとうございます...!これからも楽しく投稿していきたいと思います! (2021年3月22日 12時) (レス) id: 269a7df98c (このIDを非表示/違反報告)
雪村(プロフ) - 伶奈さん» 怜奈さん、更新楽しみにしてくださいましてありがとうございました!それと同時に返信返せず申し訳ありませんでした。最後まで楽しんで頂けましたら幸いです…! (2021年3月22日 12時) (レス) id: 269a7df98c (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - emの短編とても素敵でした!短編ちゃうなってところひとつもありませんでしたよ!これからも楽しみにしてます!頑張ってください (2021年3月20日 21時) (レス) id: 0dab1fec32 (このIDを非表示/違反報告)
みかげ(プロフ) - shoさんの短編最高でした!!今後の作品も楽しみにしてます!作者様のペースで、で大丈夫ですので頑張って下さい!! (2021年3月20日 21時) (レス) id: 7631caac1d (このIDを非表示/違反報告)
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