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『コネシマ様、喜んでくれるかな』
私は胸を高鳴らせながら、ご主人様であるコネシマ様の部屋へとやってきた。
そう、何を隠そうプレゼントを渡しに来たのだ。
コンコンとドアを叩けば、はぁい?と中から聞こえてくる。
『コネシマ様失礼します』
kn「Aちゃん!」
コネシマ様は私だとわかった瞬間、手に持っていた筆を置き、私の方を向いてくれる。
デスクワークで疲れているだろうに、コネシマ様はそんな顔ひとつも見せずに笑顔で振舞ってくれる。
『あ、あの…少しお時間大丈夫ですか?』
kn「うん。どうした?」
『その、コネシマ様が気に入るかわからないんですけど、日頃の感謝も込めまして…う、受け取ってください!』
kn「えぇ!くれんのか!?」
『は、はい…!』
kn「…ん?待てよ…今日、俺、誕生日やっけ?いや、ちゃうぞ…だって俺は…」
コネシマ様は今日が何の日か知らないらしく、わからないぞ、と顔に書いてある。
『今日は父の日なんですって教えて頂きました』
kn「へー……え!?そうやったんか!?」
意外にも驚かなかったコネシマ様を眺めていると、急に大きな声を出されてびっくりする。
どうやら反応に時差が起きたらしい。
kn「俺、母の日とか父の日とか気にしたことなかったから知らんかったわ。…でも、なんで俺に渡すんや?お前の父親に渡さんかい」
『私の父は小さいころ出ていったので…。いつも私を娘のように可愛がってくださるコネシマ様が受け取ってください』
kn「…Aちゃん、俺の事父親と思ってくれてんのか?」
『ご主人様であり、お父様でもあると言えば怒りますでしょうか…』
kn「いやっ、俺あれだけ娘や言ってたけど、ショッピくんの意見も間違ってはないなって内心思ってたから…。俺は怒らへん。むしろ主人がいらんで」
『そ、そっちですか…!?』
流石に仕事が無くなるのは困るので、と伝えると、いざと言う時は俺が何とかしたろ、と頼もしい言葉をかけてくださった。
kn「あ、そうや。これ、ありがとう。大切に使うわ」
『はいっ!』
笑顔でお礼を言いながら頭を撫でてくれたコネシマ様の返事から、気に入って頂けたみたいで私もとても嬉しかった。
それから、部屋に行く度コネシマ様の机の隅には私のあげた"水色のジッポライター"が置かれていた。
今はまだお父様と呼ぶのは恥ずかしいので、コネシマ様に言われない限り言わないけれど、いつか恥ずかしがらず呼べる日もくるのかな…
どう思おうが勝手でしょ【shp】→←娘はいつも狙われる【kn】
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雪村(プロフ) - ゆうきさん» ゆうきさん、コメントありがとうございます。emさんは1番優しい世界感を重視して書いたのでそう言って頂けて嬉しいです!ほんとですか、それは良かったです...!本当に最後までご愛読ありがとうございました。またどこかで出会えましたら嬉しいです...! (2021年3月22日 12時) (レス) id: 269a7df98c (このIDを非表示/違反報告)
雪村(プロフ) - みかげさん» みかげさん、コメントありがとうございます。わ、shoさんの作品を最高と言って貰えてとても嬉しいです!優しい心遣いもありがとうございます...!これからも楽しく投稿していきたいと思います! (2021年3月22日 12時) (レス) id: 269a7df98c (このIDを非表示/違反報告)
雪村(プロフ) - 伶奈さん» 怜奈さん、更新楽しみにしてくださいましてありがとうございました!それと同時に返信返せず申し訳ありませんでした。最後まで楽しんで頂けましたら幸いです…! (2021年3月22日 12時) (レス) id: 269a7df98c (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - emの短編とても素敵でした!短編ちゃうなってところひとつもありませんでしたよ!これからも楽しみにしてます!頑張ってください (2021年3月20日 21時) (レス) id: 0dab1fec32 (このIDを非表示/違反報告)
みかげ(プロフ) - shoさんの短編最高でした!!今後の作品も楽しみにしてます!作者様のペースで、で大丈夫ですので頑張って下さい!! (2021年3月20日 21時) (レス) id: 7631caac1d (このIDを非表示/違反報告)
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