【d!】〔悲報〕この乙女ゲーム、ヒロイン居ないんだが?

46話 ページ47

-?side-







正直。


正直、皆を直ぐに助けられるもんだと思っていた。

たかが乙女ゲームなんだし。



なのに、







なのに。






「はぁぁ……なんでこんな上手くいかんもんなん?」





なぁ?と、苛立ちを滲ませながら俺はもう１人の返事を待つ。



ーーーは、飲みかけの紅茶をコトン、と机の上に置いて、一息着いてから話し始めた。





「ふぅ…………まぁ、乙女ゲームですからね。



貴方はたかが乙女ゲームとか考えてそうですが、たかが乙女ゲーム、されど乙女ゲームですよ。気長に待ちましょう。」

















ーーーーー、side



「気長に待ちましょう。」







私がそう言った途端に彼の表情が曇る。


それも当たり前だ。


もう２ヶ月も仲間に会えていない。







私が物思いに耽っていると、徐に彼がこんなことを言い出した。



「俺は、あっち側には、いけんのやろか。」




その声には深い悲しみと、私への気遣いだろうか、酷く言葉を選んでいるように見えた。


「……わかりませんね」


私はわざと曖昧に言葉を濁す。







知っているから。


「……俺、あいつらに会いたいんや」






……全て、知ってるから。






「もう一度皆と会えるなら、俺はもうなんもいらん……」





あっちの世界への行き方も、こっちの世界への帰り方も。




あの人を支えていくと決意したときから。











……でも、もう決めたんですよ。





「もう一度聞く、ーーーー、あっち側への行き方、ほんまにお前は知らんのか?」





試すような声色と共に、怪しむような視線を向けられる。




それでも私はデスクの方を向き、
















「……知りませんね。」





仲間を思い、仲間を裏切り。



























今日も嘘を吐く。

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