【d!】〔悲報〕この乙女ゲーム、ヒロイン居ないんだが?

29話 ページ31

『とおさん!見てみて!』



「どうしたんだ?……A」






『ねえねえ父さん』


「何だ?……お前はもう小学生なんだ。自分のことくらい、自分で出きるだろ?」





『父さん……』


「はぁ。うるさいって言ってるだろ!?もう中学生なんだひとりでも生きて行ける年じゃないか!」



俺の父はさ、仕事熱心だったんだよ。

熱心すぎて俺の世話も忘れてしまうくらいに。

父は、"沢山の人を助けるためだ"

……って、よく分かんないことを言って、よく分かんない機械を沢山並べた部屋に、一日中いた。








ある日、本来は空いてないはずの父の部屋のドアが、空いていた。

ちっさいころの俺の自制心なんて当てになるはずもなく、俺はその部屋に父に内緒で入った。

あのときの感動は忘れられない。

でっかいテレビに、でっかいパソコン。

そんで、
起動されたパソコンの画面に映っていたのが、


この乙女ゲームだったんだよ。




俺は父が言った人を助けるって言葉を信じてる。




……これくらいだよ。俺の話は。』



ショッピくんは俺の目をじっと見ていたかと思うと、急にこんなことを言ってきた。


ショ「話すの下手なんですね」


『喧嘩売ってんのか?おい。』


いらっときました。

ショ「こんくらいで本気になるとか、自制心が無いのは、今も変わらないんじゃないっすか?」


『ぐっ……』


こ、こいつっ!

確かマニュアルに、"煽りスキルあり"って書いてあったけど……今することかよ!


『何で煽るんだよぉ……俺のライフはもう０だよぉ』


ショ「……何でって言われても……まぁ、強いて言うなら、あんたは煽りがいがあるから…っすかね?」




『はぁ……




……あ、俺、ショッピくんにお礼言わないとな。』

ショ「な、なんですか。急に。」


『いや、父が作ってるゲームを、ここまで守ってくれて、ありがとな。

……大変だっただろうけど。ホントに、本当〜にありがとう』




ショ「お、俺は、別に……守ってなんか、無いっすよ。

あ、あと、ありがとうも、俺には似合いませんから。そんなこととは言わなくても、大丈夫……俺は……だ、大丈夫ですから。」





『……ﾌｯ……じゃあさ、何で泣いてるんだよ。もっと自分に素直になれって。何度でも言うから。


ありがとうな』

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