【d!】〔悲報〕この乙女ゲーム、ヒロイン居ないんだが?

14話 ページ15

『確か、ここら辺から声が聞こえて……』


「……!?Aﾁｬﾝ!?何ﾃﾞ来ﾀﾉ?!早ｸｼﾅｷｬ、出ﾗﾚﾅｸﾅｯﾃｼﾏｳ!」




『え?』

「ｲｲｶﾗ早ｸ逃ｹﾞﾃ!!」



ど、どういうこと?


急すぎて展開が掴めない、



『え?え?』



何なんだよ一体……

出られなくなる?ここから?





……ここから、か











……別に、出られなくても…良い…かも。






そう思った瞬間、なんだかさっきよりも自分の足が重く感じた。







昔から父親は、オレに全く興味が無かった。




母親はオレと父さんを捨てて、どこかへ行ってしまった。



唯一の友達であるーーくんも、今は




……今はいない。



つまりオレはあっちの世界では





必要ない








……でも、ここなら、ここならオレは、必要にされるかもしれない。

誰かとまた仲良くなって、友達って言いながら一緒に遊んだりできるかもしれない。


それにらっだぁさんもいるし。








なら、オレはどうするか。









「ﾓｳ、分ｶﾙﾖﾅ?」




オレの答えは、






『オレは向こうの世界には戻れない。


……いや、戻りたくない……です。』



するとさっきまでオレを引っ張ってた人は、驚くほど早いスピードでオレから手を離した。




「………ｿﾉ答ｴﾃﾞ、後悔ｼﾅｲ?」







……まるで最初からこうなることが分かってたみたいに、


まるでこうなることを望んでるみたいに。




『はい。……後悔無いです』




「ｿｯｶｿｯｶ……残念ﾀﾞﾅｧ」




"その人"は、全く残念そうではない顔でそんなことを言う。



……少し、微笑みながら。



















「ｺﾉゲームｶﾗﾊ逃ｹﾞﾗﾚﾅｲ。皆、逃ｹﾞﾗﾚﾅｲ………


…ﾏﾀ一人、ﾌｴﾃｼﾏｯﾀ……」


何ﾓ知ﾗﾅｲ可愛ｿｳﾅ少年ｦ背後ﾆ、私ﾊ来ﾀ道ｦ戻ﾘ始ﾒﾀ。








「あぁ、何で、何で逃げないの?……残念だけどあいつはダメだ。




……スマイル」



スマ「…………」

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