絶対王政☆【wrwrd!】【男主】

エーミール ページ23

何だか今は一緒に居たらいけないかな
と、Aの赤い目頭をみて
部屋を退室しようとした


『…。』

Aは何も言わず、ただコチラをみた

その眼差しが、行かないでくれと言っているように思えて

｢…お邪魔でなければ、少し
残らせていただきます｣

『うん…。』

エーミールはそう口にしていた。



｢あ〜見る？｣
｢え？なにをですか？｣

少し離れた所でAの様子を伺っていたら、
隣にいる鬱に、何だか本人の前で本人の話をするのはどうか、と考えたのか
Aに聞こえないよう小声でそう言われた
コチラも小声で返す

｢疑問顔してたから？まぁーみたら分かるわ｣
｢は、はぁ｣

｢端末機器ですか…？｣
鬱から差し出されたものを見て、思わず声にして聞いていた
｢そうそう｣
持っているものは少ない。
大先生…こんなものをなぜあなたが？

一瞬とても訝しんでしまったが、
持っている人は持っているものだろうと結論付けて
映し出されていた画面をみた

ソレは動画のようだった。

ますます分けが分からなくて
鬱の方へと視線を戻す

けれども鬱はAの方を見つめるだけで、
何も聞けそうになかった

御丁寧にイヤフォンまでつけられていたのをみると、聞け見ろ。ということだろう


エーミールはみる

知る

大臣が死んだ時のことを。

この部屋に来る、前のことを。

｢…｣


声を大きくあげ、傲慢な態度をとる

そんなAの姿は初めて見た


けれどもAの言葉と理解できて、なんと言えば分からなくなって、眉を歪ませる

「…なんか、A王子、変わりました？」
ボソッとそう心情を吐き出した。
「…？
いや喋らんだけで、割と、前からあんなんやで」
見終わったと分かったのか鬱が耳うちしてきた。
「本当ですか…！？」
その内容に驚いた

大人しくて、
でも子供らしく好奇心旺盛で、お陰で活字中毒で、
そんな印象があったから、そういう風な見方もあるのだと、何か強い衝撃をうけた


喋らないだけ、

なるほど。
確かに、そう言われてみれば
態度の急変に、なんとなく感じる既視感は、
ソレに近いものがある

｢え？割とあんな感じやんな…？チーノにも後で聞いてみたら？｣

｢…。

ええ、そうしてみます｣

この人は良く、人を見てるな



｢エーミールさーんおかわりお願い致します〜｣
会話も一段落した時、チーノからそう声がかかった

｢あ、はい！
鬱さんこれ、どうも｣
端末機器を鬱に返して
紅茶を入れにAの前に戻る

｢お味は如何ですか｣

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