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結果から言おう。悠仁君は無事だった。
いや、この有様を“無事”の一言で片付けるのは良くないと思うが、少なくとも私が思うような凄惨な現場にはなっておらず。
「ふん、やっと来たか、小娘。」
「おい宿儺さっさと退けよ!!」
悠仁君の上に悠仁君が座ってる。異様な光景。
───どうやら、現実世界の意識の有無がこちらの世界に繋がる鍵らしい。
つまり最初のあの時は互いの気絶。
そして今何故私がいるかと言うと、あの後布団に入って固く目を閉じたからだ。確証なんて無かったけれど、寝ればここに来られそうな気がしたから。
「悠仁君が無事そうで良かった」
「これのどこをどー見たら無事なんですかね?」
「屍の一部になってたら嫌だなって」
「さりげなく怖いこと言わないでよ」
いやぁ、だってこの人呪いの王なんだよ?
躊躇なく人の顔面サッカーボールにしてそうだし、今だってさも当たり前のように悠仁君のこと椅子にしてるし。
「───ひゃっ、」
瞬きの内に視界から消え去った宿儺は、瞬きの内に私の目の前に立たちはだかっており。
悲鳴とほぼ同時。これ以上を喋らせまいと、その長い爪をくい込ませるように私の頬を鷲掴みにする。
「お前は誰の許可を得て喋ってるんだ?」
「あの、いひゃいのではなひてほひいんでふが、」
「ろくに人語も話せんのか……。」
「あんたの!せい!でしょーが!!」
怒った。もう完全に怒った。幾ら見た目がいいからってもう騙されないからな。
私だって呪術師の端くれだ。呪術で宿儺に勝てなくとも、体術だってそれなりに心得ている。
私の頬に伸ばされた腕を両手で掴み、宿儺の顔面目掛けて思いっきり蹴りあげる。
外した。けど大丈夫。こいつに腹が立ってるのは私だけじゃない。
「───悠仁君!!」
「任せろ!!」
すかさず飛んでくる悠仁君の拳。
完全に戦闘モード。私のイライラのボルテージはマックスだし、悠仁君の顔を見た感じ彼も同じだろう。
二人と一人。しかも何故かは分からないが先程から宿儺が呪術を使う様子は見られない。
舐められているのなら癪に障るが、今はそれでいい。兎に角、こいつに一発お見舞いを、
「橘!!」
悠仁君の声。
一瞬間隙を見せた宿儺。鳩尾一発。これなら、入る。
「───下らん。」
「へ、」
冷めた声。
刹那、私の視界は反転していた。
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梅鉢朝桜 - 宿儺様ぁ…(泣) 愛してます、もう本当に…。素敵な作品をありがとうございます!!! (2023年4月26日 23時) (レス) @page43 id: 5a6192c453 (このIDを非表示/違反報告)
レナート(プロフ) - 好き……泣きました。。最高過ぎます…。こんな素晴らしい神作をありがとうございます…。 (2022年3月31日 2時) (レス) @page43 id: 3e48fe4f1f (このIDを非表示/違反報告)
ゆいゆい - なんか原作で泣いたことないのに二次創作で泣くのなんで?特に宿儺と夢主ちゃんが最後話していたところが感動しました!応援しています! (2021年8月10日 14時) (レス) id: de4752e106 (このIDを非表示/違反報告)
好きです大好きです - えっ、何でしょうもうなんか凄かったです(;;)色んな夢小説を拝見していましたが、こんな素晴らしい作品初めて会いました!!本当に素晴らしい作品だと思います、読んでいるうちに情景がすんなり頭に思い浮かんじゃいますよ!お2人が幸せになることを祈ってます(^^♪ (2021年7月23日 17時) (レス) id: fdb8e911e1 (このIDを非表示/違反報告)
睡眠時間 - 途中で全てに気づいた瞬間、グッと溢れ出てきた感動、それと同時に作者様の素晴らしさを目の当たりにした。まるで、全てを見透かされていたかのような、先回りされた感じ。←ポエマーしてみました 一言言うと、最高でした大好きですありがとうございました!!!! (2021年4月20日 0時) (レス) id: ee5607c705 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2021年2月9日 22時