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───愛した人がいる。

後にも先にも、彼女だけでいいと本気でそう思えた人が俺にも確かにいたのだ。



けれど彼女は死んでしまった。

人間共の身勝手な都合を押し付けられて、彼女は命を奪われた。

世界が、彼女を呪ったから。




本当なら、村の人間を殺した後は自分も彼女の後を追って死ぬつもりでいた。

文字通り命を運んでくれた人だった。

俺に人間としての命を与えてくれた彼女がいない世界に、生きる意味など見い出せなかった。

彼女が居なくても生きていける現実など知りたくなかった。





しかし、憎悪というものは恐ろしいもので、一度抱いてしまえば際限なく湧いてくる。


人間が嫌いでも、憎いと思ったことは無かった。

彼女に出会うまでは、憎しみという感情も知らなかった。


だから、駄目だった。

覚えてしまった。人を呪うことを、覚えてしまった。



何故彼女が呪われなければならない。

何故彼女が苦しまなければならない。


誰のせいだ、誰が悪い、誰を憎めばいい。






───……どれだけ罪を重ねても、どれだけ血で血を洗っても、もう彼女は戻ってこないと知っている。

心優しい彼女がそんなことを望んでいないのも、俺は全て知っていた。



それでも尚、俺は自分を止めることが出来なかった。

俺はあの当時、既に負の感情に呪われてしまっていたのだ。






1000年間。

俺は暗闇の中考えた。



生きる理由を無くした俺が、最後の希望を砕かれた俺が今ここに存在している理由は何なのだろうかと。


神と呼ばれているそれに実態があったなら、俺はきっと誰よりも先にそいつを呪っている。
善人の一人さえ救えやしない無能な神など、必要ないだろうから。




何がいけなかった。


何がダメだった。どこで間違えた。




愛を抱くことが。彼女を愛したことが罪だと言うのなら、俺は世界にだって抗おう。

例え世界中が敵に回ったって、俺はただ、本当に彼女さえいればそれで良かったのだから。




俺が呪われた身だったからいけなかったのか。

俺はこの世に産み落とされるべきではなかったのか。



──人間としての幸せを求めたから駄目だった?


千年前。俺は確かに、幸せだった。

あの日々がずっと続けばいいと本気でそう思った。

あれ以上は望まない。ただ隣で、日々の幸せを分かち合うのが彼女であればよかったのに。



世界はその幸せさえも、許してはくれないのか。



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設定タグ:呪術廻戦 , 両面宿儺   
作品ジャンル:恋愛
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梅鉢朝桜 - 宿儺様ぁ…(泣) 愛してます、もう本当に…。素敵な作品をありがとうございます!!! (2023年4月26日 23時) (レス) @page43 id: 5a6192c453 (このIDを非表示/違反報告)
レナート(プロフ) - 好き……泣きました。。最高過ぎます…。こんな素晴らしい神作をありがとうございます…。 (2022年3月31日 2時) (レス) @page43 id: 3e48fe4f1f (このIDを非表示/違反報告)
ゆいゆい - なんか原作で泣いたことないのに二次創作で泣くのなんで?特に宿儺と夢主ちゃんが最後話していたところが感動しました!応援しています! (2021年8月10日 14時) (レス) id: de4752e106 (このIDを非表示/違反報告)
好きです大好きです - えっ、何でしょうもうなんか凄かったです(;;)色んな夢小説を拝見していましたが、こんな素晴らしい作品初めて会いました!!本当に素晴らしい作品だと思います、読んでいるうちに情景がすんなり頭に思い浮かんじゃいますよ!お2人が幸せになることを祈ってます(^^♪ (2021年7月23日 17時) (レス) id: fdb8e911e1 (このIDを非表示/違反報告)
睡眠時間 - 途中で全てに気づいた瞬間、グッと溢れ出てきた感動、それと同時に作者様の素晴らしさを目の当たりにした。まるで、全てを見透かされていたかのような、先回りされた感じ。←ポエマーしてみました 一言言うと、最高でした大好きですありがとうございました!!!! (2021年4月20日 0時) (レス) id: ee5607c705 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆき | 作成日時:2021年2月9日 22時

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