杖に魅いる２【ハリーポッター】 (ページ21)

今日:30 hit、昨日:24 hit、合計:142,559 hit

第21話ページ21

．

夜。
Aは寮を抜け出した。ハグリッドのところに行くわけでもなく、ホグワーツをうろついていた。

裸足だった。

『ああ、まただ…』

気づいたときには中庭で、Aはここに来るまで意識がなかったのだ。

『あの子たしか一年生の』

ジニーと同じで、新入生だったのを思い出した。
濁ったブロンドの女の子は、ゆっくりと歩いていた。

Aはもしやと思い、その子に近づいて顔をそっと見た。目は開いているが虚ろで、こちらに気がついている様子もなかった。

「みつ…すの、か」

なんと言っているのか聞き取れず、言葉もはっきりとはしていない。Aは自分と同じ夢遊病だと勘づいた。

なんだか親近感が湧いて、Aは彼女を寮に戻るまで見守ることにした。

『たしかレイブンクロー、だったよね…』

名前は忘れてしまったが、耳につけたピアスを覚えていた。

起こさないようそっと手をすくい上げ、寮の前まで誘導したが、どうにもレイブンクロー寮に入るには謎解きをしなくてはいけないらしい。

［杖と人ではどちらが上か］

『どちらが上なんてない。どちらも同じ位置よ』

そろそろ寒くなって来たAは、早口で言ったが正解したようだった。扉を開けて女の子を入れると、我慢できず走って反対の自分の寮へ戻った。