間違い電話がかかってきた【文スト】

12コール 横暴マフィア ページ13

*


それから



私はなんとか、生きて家に帰ることができた


本当、危機一髪というか何というか。何はともあれ、良い事である



良い事、だけれど、







「へぇー、ここが手前の家か」





…何故かマフィアも一緒である





キョロキョロとあたりを見回す彼。…そんなに見てもここはただのアパートですよ



というか



『な、何でついてきてるんですか！』




私の問いかけに彼は一瞬きょとんとしてから、溜め息をつき、投げやりに云った



「見張りだよ」


『え？』


「手前が持ってる番号。手前が勝手にそこらの軍警とかに売り渡したりしねぇとも限らねぇからな」



成る程。確かにそれは筋が通っている


私は携帯の入ったポケットの方へ視線を落とした




『…じゃあ、貴方はどうするんです？』


「だから、見張りだっつってんだろ。手前の家に泊まらせてもらう」


そうか、私の家に泊まるのか、そうだよな彼も一応仕事で……………んん？





『は、はあ⁉』



うざったそうに彼は此方を見た



「何だよ」


『い、いや、泊まるって！こ、困ります！』


「悪いかよ。見張るにはこれが一番だ」


『そう、なんでしょうけど…』


「…それともアレか？今すぐ手前の人生とおさらばしたいのか？それなら話は早ぇ」


『……』


そんな訳ないだろう。ついさっき後悔を、しすぎる程したばかりだ




「認めるしかねぇようだな」



黙りこくった私をみて彼はにやり、と笑う





「俺の名前は中原中也だ。ってな訳で、いろいろよろしくな」





…もうやだ、こんな横暴マフィア



*

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