醒めない夢 ページ32
花粉の季節も嫌いだけど、私にとって1番辛いのは今なのかもしれない。
暗い窓の外で私を、私の気管支を、嘲笑うかのように降り続ける雨をキッと睨むけど、止む気配はなさそう。
ゴホッゴホ…
あー、くるしい…梅雨なんて早く終われ〜!!
もう慣れてしまった咳を繰り返しながら、ソファーにボフッと寝っ転がる。
ゲホゲホゲホ
田中「今日こっちにしよっか。そのままでいいから、深呼吸ね〜」
頭の上から声が聞こえたと思ったら、口元に当てられたネブライザー。指にもパチンとはめられて、ひっくいな〜って呟き付き。
「もぉ、やだねぇ…」
思わず漏れた本音は、樹くんの苦笑いと共に消えた。
結局その日は苦しくてなかなか眠れなかったし、寝てもすぐに咳で起きてスッキリしないまま朝を迎えた。
今日も窓の外は多分雨。見なくても分かる、重苦しい胸がそれを物語っていた。
「おはよ…。」
そう言ってリビングに降りると、こーちとほくちゃんが揃って困り顔。樹くんにいたっては、無言でネブライザーの準備をする始末。
高地「今日、休もっか。学校行っても発作出るし、きついっしょ。クリニックでゆっくりしときな〜?」
樹くんの隣に座って大人しくネブライザーを吸う私には、もう選択肢なんてない…。
そうしな?じゃないと俺も心配って言う樹くんの言葉に、私の今日のスケジュールが決定した。
目が覚めるとクリニックのベッドの中にいて、いつのまにか点滴も繋げられていた。
起きた?ってこーちの声と一緒に聴診器が当てられて、ほくちゃんが点滴の針を抜いた。
高地「まだ苦しい音聴こえてる。きつくない?ここ」
そう言って私の胸元を摩るこーちの手が優しい。
「くるしいけど、ちょっと良くなった…」
心配しないでの気持ちを込めて笑うと、そっかって笑ってくれた。
高地「また後でお薬入れたいから、ここでゆっくりしてて。逃げんなよ?」
北斗「なにそれ、フリ?」
そう言って笑うほくちゃんの目は、全く笑ってないけどね。
キキィーーーーー!ドン!!!!
3人でゆっくりしていた時、聞いたことないような音が外から聞こえてきて、ビクッと肩が揺れた。
北斗「なんだろ…?事故?」
高地「ちょっと見てくるわ…A頼むね。」
そう言って出て行ったこーちの「救急車呼んで!!!」って怒鳴り声が聞こえたのは、それからすぐのことだった。
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みー(プロフ) - きなりさん» こちらこそありがとうございますm(_ _)mよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年10月30日 2時) (レス) id: 4b53f5dd0a (このIDを非表示/違反報告)
きなり(プロフ) - みーさん» リクエストありがとうございます^^お時間いただくと思いますが、気長にお待ちいただけたら嬉しいです!^^これからもよろしくお願いします! (2021年10月29日 21時) (レス) id: d102b3716c (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - いつも夜中に見てます!!リクエストしてなかったらごめんなさいm(_ _)m夢主ちゃんがてんかん出るお話をみてみたいですm(_ _)m (2021年10月28日 0時) (レス) id: 4b53f5dd0a (このIDを非表示/違反報告)
きなり(プロフ) - nさん» 嬉しいコメントありがとうございます!随分前にいただいていたのに、お待たせしてしまって申し訳ありません…。またリクエストしてくださると嬉しいです!更新頑張ります^^ (2021年10月21日 23時) (レス) id: d102b3716c (このIDを非表示/違反報告)
n - エレベーターのリクエストをした者です。書いていただきありがとうございました。すごいいいお話で感動しました!お忙しいとは思いますが、更新頑張ってください! (2021年10月21日 1時) (レス) @page32 id: bbc023a104 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなり | 作成日時:2021年9月23日 22時