S.tiger【病系短編集】11

〇「ごめん」禁止令（赤×ALL） ページ38

ちゃか×ALL

・める様リクエスト(宮近くん：熱中症)

・リアル設定





Side宮近


宮「…はっくしょんっ！んぁ〜」


特大のくしゃみに余韻までつけて、思い切り鼻をすする。顔を上げると、苦笑と心配が半分ずつ浮かんだ顔が６つ、俺の方を向いていた。



龍「大丈夫？風邪？」

宮「いや、花粉。」


本物の風邪ひきはこっちでしょ、と言って鼻をすすりながら、右手で海人を指す。気まずそうに肩をすくめながら、海人は色の悪い顔を左右に振った。



海「大丈夫だって。微熱だし。」

如「でも、今日は結構動くと思うからさ。一応休み休みやりなよ。」


如恵留の言葉に、他のメンバーも大きく頷いた。




今日は、YouTubeのキャンプ企画を撮影する日。ほとんど外で動き回るうえに、運悪く猛暑日の真っ昼間の撮影だ。



宮「俺と海人、同じチームだよね？気を付けて見とく。」

如「ありがとう、助かる。ちゃかも無理しないでよ。」

宮「え、あぁ、うん。」


如恵留の二言目に一瞬ドキッとしたけれど、如恵留はなんでもなさそうにあっさりとその場を離れていった。その後姿を見ながら、ほっと胸をなでおろす。





ここまで2つ、嘘をついてしまった。


まず、花粉症、と言ったのは嘘。いや、花粉症なのは本当なんだけど、今日くしゃみが止まらないのは花粉症のせいじゃない。そもそも俺にとっては今は花粉症のシーズンじゃないし、今ある体の重だるさと頭の痛みはその時期の何倍もひどい。風邪をひいてしまったのは、ほぼ確実だ。



それから、無理をしないで、と言った如恵留につい頷いてしまったこと。できればそうしたいところだけど、多分今日は無理するしかないだろう。


ごめんね、と心の中で如恵留に謝りながら、俺は折り畳み式の椅子に座り込む海人の顔を見つめた。

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