制御不能 ページ32
※続けてやばいです。
ああ、止められなかった。。
血まみれの左腕を唖然と見つめる。
くそっ、くそっ…。
後悔しても、時間は優しくない。
カッターを床に取り落とし、自分もその場に崩れ落ちる。
やってしまった。
盛大に。
痛みなんか感じない。
もう嫌だ。
こんな自分が嫌いだ。
大っ嫌いだ…。
「うーむ、遅かったか」
真後ろから、声がした。
『…しろ、な』
私の怨霊、白納だった。
「嫌な予感がして来てみたんじゃが、手遅れだったようじゃのう」
困ったような仕草をし、私の腕をじっと見る白納は、やがて私の横にしゃがみこみ、背中をぽんぽんと優しく叩いた。
「何があったんじゃ?
話せるかの?」
『…白納…』
言葉が喉につっかえて出て来ない。
「無理に言わんでもいいんじゃよ。
私はお主に憑依する怨霊じゃ。
言いたいことはなんとなく分かる」
そう言ってくれる白納には、感謝しかなかった。
『……止められなかった…』
なんとか一言絞り出す。
横で頷く白納は、「そうか…」とだけ応え、後は何も言わなかった。
私には、それが嬉しく思えた。
「大丈夫?」「ダメだよ」なんて言葉はもういらない。
傍にいてくれるだけで心が和らぐから。
白納が私の腕を取り、ふかふかの白いタオルで包む。
「私がいるからの」
そう言って、ニコッと笑った。
尖った気持ちがまんまるく削られていく。
『…そのタオルどっから持ってきたんだよ…』
思わず笑って言った。
「怨霊じゃからの。
何でもできるぞい?」
『…ッ、なんだよそれ…。
ははっ…』
おどけたように応える白納が、私は大好きだ。
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桜夜 - 饅頭さん» またジンエマダメな人いてくれた…!!じんぺが好きすぎる私がおかしいのかと思った…ww (2020年2月13日 8時) (レス) id: e216db5bf3 (このIDを非表示/違反報告)
饅頭(プロフ) - ジンエマ地雷持ちだったから大丈夫かと思っていたら… 意外と大丈夫でした(^p^) でもやっぱりジンエマはダメでした (^p^) (2020年2月12日 18時) (レス) id: bb1145914b (このIDを非表示/違反報告)
彼雨(プロフ) - なんと!?残念… (2020年2月2日 18時) (レス) id: 1d3d5b016f (このIDを非表示/違反報告)
桜夜 - 彼雨さん» 残念ながらまだ五話は上がっておりません…(泣) (2020年2月2日 18時) (レス) id: e216db5bf3 (このIDを非表示/違反報告)
彼雨(プロフ) - YouTubeなら多分見れると思います (2020年2月2日 13時) (レス) id: 1d3d5b016f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜夜 | 作成日時:2020年1月27日 0時