寄せ集めの僕ら。 (ページ24)

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20話ページ24

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｢え？智くんいないんですか？｣

｢おう、終礼終わってからすぐ教室出てったけど｣

次の日、いつも通り学校に智くんと行って、授業が済んでから帰ろうとしたんだけど…
教室に智くんの姿は無くて、お友達に聞いてもすぐに帰ったと言われた。靴箱を見たら靴は入ってたから、校内にはいるはずなんだけど…

｢どこいんだろ…｣

基本的に学校の行き来しか智くんと会わないから、どこにいるのかよくわからない。部活がある時は智くんより先に帰ってたけど…
部活…あ、もしかして、美術室にいんのかな？

目星が付いてから急いで美術室に向かう。部室ってのもあるけど、あそこは人が少ないから智くんは好きみたいだから。

｢智くーん…｣

そっとドアを開けて中を覗き込む。やっぱりいた。何だかおっきな絵をじっくりと眺めてるように見える。
それを手にかけて、思い切り引っ張ろうと…

｢ま、待って！！｣

気付いたら体が勝手に動いて、彼が触れていた絵の前に飛び出した。そして絵を奪い取って、安否を確認する。良かった、まだ破れてなかったみたい。
じっくり絵を見たら、それはやっぱり智くんのタッチなんだけど…これ、もしかして…

｢俺…？｣

｢…そーだよ。｣

目の前のキャンパスには、ちっちゃい頃の俺と思しき俺の姿が。太陽に照らされて、無邪気な笑みを見せている。
智くんには、俺はこんな風に映ってたんだ。でも、こんなに綺麗で良いのかな…。

｢…俺にとっての翔くんは、ずっとこんな感じだった。｣

｢…俺はこんなに、綺麗じゃないよ？｣

｢綺麗だったよ。俺にとって、翔くんは太陽みたいだった。｣

そう言って、美術室から出て行ってしまった智くん。
｢太陽みたいだった｣と言う言葉が、頭の中を反芻する。聞き覚えのある言葉。

…そうだ、智くんの好きな人のことだ…。智くんの好きな人は、俺だったってこと…？
心の中に喜びの感情が生じるのと一緒に、疑問が生まれる。どうして智くんは、この絵を破ろうとしたの？

智くんは、俺を諦めようとしたの…？

｢あ、れ…おかしいな…｣

知らないうちに涙が溢れ出て、止めようとしても止まらない。俺、今悲しいんだ…。