17話 ページ21
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S side
ちびっ子3人組に追い出されて、渋々買い物に行くことになった。服、3人の買ってやんねえとな。
潤なんか、最近オシャレに目覚めてきてんの。毎日服装悩んでる。将来が楽しみだわ。
｢おい翔くん。自分の服買わねえの？｣
｢え？…あー、あいつらの買うからお金ないし、今日はいいや。｣
｢…はー、何のための休暇なんだよ。自分の服選べ｣
智くんに腕を引かれて、目的だった子供服売り場から遠ざかる。休暇…。わかってる、わかってはいるんだけどさ…。
やっぱ今まで兄弟達中心で動いてたから、何となく忘れらんないっつうか…。
｢ほれ、これなんか翔くん好きだろ。あと、これも。｣
｢うわ、かっこいい…。よく俺の好みわかんね？｣
｢何年一緒にいると思ってんだよ。ほら、決めたなら買ってこいよ｣
｢あ、うん。いってくる｣
俺はどうも服のセンスが悪いらしく(自分ではそう思わないけど)、時々こうして智くんが選んでくれる。智くんは俺の好み全部わかってる上にオシャレだから、いつも助かってんだよね。
｢じゃ、本屋行くか｣
｢うん？欲しい本あるの？｣
｢いや、あいつらに土産。翔くん落ち着かない感じしたから。｣
…あ、やっぱりバレてた。服選んでる時もちらちらとあいつらが浮かんで、どうも捗らなかった。智くん、気づいてたんだな…。
昔から俺の考えてることすぐわかるから、ほんとに智くんは凄い。
｢決めた？本。｣
｢うん。このシリーズあいつら好きだから、これにする。｣
シリーズものを1冊ずつ。回し読みして仲良く読んでくれたら良い。本渡したらどんな顔すっかな。喜んでくれっかな。
｢…はは、翔くん。翔くんが嬉しそうな顔してんじゃん。｣
俺の顔を見て楽しそうに笑う智くん。
…その表情、俺、すげー好き。感情表現がはっきりしてる方じゃないこの人が、たまーにくしゃって笑うの。その笑顔を見るために、ちっちゃい頃はふざけたことばっかしてた。
もちろん弟達のことはずっと考えてるけど、智くんのことも頭から離れない。俺、父さん達や弟達がいなかったらどうなってたんだろう。
俺、この人がいなかったらどうなってたんだろう。
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作者名：おうす | 作成日時：2017年6月7日 20時
