キモチ (ページ27)

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「…しめ？」

どうやら自主練をしていたであろう
彼のテーブルにはプリントがたくさん積まれ
ウィッグが置かれていた

「久しぶりだね」

動揺しているわたしとは反対に
しめは堂々としていた

そしていつもの笑顔で

わたし、この笑顔が好きだった

…大好きだったよ

「Aちゃん、あのさ」

教卓にプリントを置いて呆然とするわたし

気付けばしめはわたしの隣に移動してきた

「…花火大会の日、ごめんね」

「え？」

「Aちゃんに、いっぱい嫌な思いさせたと思う。
ほんとに、ごめん。」

しめを少し見上げると
真剣にわたしの目を見つめてくれていて
少し切なそうで、でもやっぱりどこか
堂々としていて

今更、ごめんって言われて

なんか、ちょっと惨め

「俺さ、Aちゃんのこと好きなの」

「…え？」

「あんなことされて、は？って思うかもしれない。
本当にそれは、ごめん」

好きって言われ
最低だけどちょっと胸が高鳴った

好きだもん

しめのこと

「でも、逃げたのも理由があって
それもちゃんと今から話したくって…」

嬉しい反面、
わたしの変なプライドが生まれて

「…わたし、あらんと付き合ってる」