キモチ (ページ24)

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Aran Side

「いや、仕事仲間と食いに来たらさ
なんか見たことある子が見えて
それがまさかのAちゃんだった！」

「まさかみゅーとくんも来てるなんて！
びっくりした！」

そんなことを言いながら美勇人は
俺の隣、つまり、Aの真ん前に
腰を下ろした

なんとも、仕事仲間とはもう食べ終わって
解散、ってなったらしく
「ここで一杯呑んでくわ」と。

「てか、ほんっと仲良いね、
平日まで一緒に焼肉食べに来るなんて」

美勇人は既にほろ酔いなのか、
いつもより楽しそうに話し始めた

『いや、A、俺の彼女になったから』

「え？」

『ね？A。』

「うん」

Aの返事を聞くと、
ええええええ！？とまるでリアクション芸人の
ように叫び出した

『いや、うるせぇわ』

「や、ごめん。けど、え？
それまじで言ってる？？」

まじ以外の何があんだよ、と思いながら
俺とAが頷くと
少し動揺しながら飲み物に手を伸ばした

「Aちゃん、あらんのこと好きなの？」

「…え？うん」

「…しめのことは？ちっとも好きじゃない？」

『は？』

美勇人の口から出てきた、
“しめ”

きっとAが今一番聞きたくない名前だろう

あんな傷つけられて

美勇人は多分酔ってるから
そんなこと言ったんだろうけど

『みゅーと、変なこと言うのやめ…』

「好きじゃないよ？」

『「え？」』

俺の言葉を遮りAが話し出した

「あらんが好きだから
あらんと付き合ったの。それだけ。
七五三掛くんのことは好きじゃないよ」

この間まで、しめ呼びだったAが
今日は、七五三掛くんと呼んだ

そこに違和感を感じながらも
俺のこと、好きって言ってくれたのが
嬉しかった。

たとえ、それが嘘だとしても