真っ黒な支配(rtrt) ページ44
-レトルト-
完全に真っ黒に染まった俺は何もかもがおかしくなったようだ。
「レトさん、最近、キヨくんと何かあった?うっしーとも、ガッチさんとも、あんまり関わってないね?」
「Aちゃんは気にしなくていいよ。」
あれ以来あの3人と親しくしていない。
もう真っ黒な俺はこの女を独り占めすることしか興味が無い。
『…気にするんですけど…。』
Aちゃんって、他の3人が好きなの???
そんな不安が頭をよぎる。
『喧嘩かなんかしたんでしょ?仲直りしないの?』
あー、うるさい。
俺は彼女を押し倒し、右手で彼女の両腕を頭上で留め、左手で口を塞いだ。
「うるさい、それ以上言うな。俺はAが好きなだけだ、Aが俺のものになってくれるなら、あいつらはいらない。」
真っ黒な俺が、全て吐き出た。
彼女は最初、すごく怖がった顔をしていたが、すぐ冷静さを取り戻したような顔をした。
その顔が綺麗で、手の力が弱まってしまい、難なく腕を弾かれた。
そして左手を退けられ、
『…へぇ……、レトさんじゃないみたいだね。』
こう言われた。
どこか悲しそうな目で。
そんな目で俺を見ないでくれ。
そんな顔をしないでくれ。
「俺はただ、君のために…。
君は、俺といれば、幸せになれるんだよ…。」
『自分のためでしょ?』
彼女の言葉が痛かった。また口を塞ぎそうになる。
『そうやって邪魔を排除するのね。』
仰向けで寝そべったままの彼女が顔だけをそっぽに向けた。
『好きにしたらいいじゃない。今のレトさんじゃ何も嬉しくないけれど。』
それを聞いた俺は自分のしてきたことを振り返った。
彼女を幸せにするためにやったことは、全て自分のためで、こんなことをしていても彼女はちっとも嬉しくないことを思い知った。
真っ黒な何かに支配されて、俺そのものが彼女に対して真っ黒な支配を行っていた。
善意が、彼女を傷つけた。
『何があったか知ってんだよね、キヨくんから聞いてたから。わざわざ私への気持ちを伝えてまでレトさんたちの間に起きたことを説明してくれたよ。』
あぁ、全て筒抜けだったか。
「はは、あほらし…」
彼女の上に、俺の涙が落ちる。
視界がぼやけて彼女の表情は見えない。
「…っごめん、ごめんっ、俺っ…!!」
『いいから、キヨくん達にいいなよ。』
涙を拭って見えた彼女は仕方なさそうな笑顔をしていた
許されるか分からないが、あいつらの元へ行こう。
そう思った。
_____end.
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しるべ(プロフ) - パスタ好きのさらさんさん» ありがとうございました!そこまで愛される作品が出来て良かったです。また機会があればチャレンジしてみたいと思います! (2020年2月25日 19時) (レス) id: a8141104b5 (このIDを非表示/違反報告)
パスタ好きのさらさん(プロフ) - 完結お疲れ様でした!この作品本当に好きで、私普段は長編しか読まない派なんですが短編もいいなと思い始めました!最後のTOP4のヤンデレも本当にご馳走様です(しかもいいペア同士で…泣)今度はまた何か、TOP4+最俺なんかでストーリー作ってみては?楽しみにしてます! (2020年2月25日 19時) (レス) id: b898e8ff1d (このIDを非表示/違反報告)
しるべ(プロフ) - パスタ好きのさらさんさん» いやもうそこまで喜んでもらえるなんて嬉しすぎます(泣)書いてて胸が痛かったんですけどこういうのも好きです…。リクエストありがとうございました! (2020年2月10日 19時) (レス) id: a8141104b5 (このIDを非表示/違反報告)
パスタ好きのさらさん(プロフ) - めちゃくちゃ希望通りの作品が……!!凄く嬉しいです笑笑レトさん闇堕ち可哀想だけどちょっとヤンデレトルトなのも良い…!えr沢さんもご馳走様でした!! (2020年2月10日 17時) (レス) id: b898e8ff1d (このIDを非表示/違反報告)
しるべ(プロフ) - パスタ好きのさらさんさん» 感想と、いいアイデアありがとうございます!そっち系書いたこと無いですが機会があればチャレンジしてみようと思います笑これから応援よろしくお願いします!! (2020年2月5日 6時) (レス) id: a8141104b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しるべ | 作成日時:2019年12月30日 10時