【１期】弱虫姫★番外編【弱虫ペダル】

【１０月編】もしも仮装した姫ちゃんが現れたら【巻島裕介】 ページ2

俺は夢は見ないリアリストのはずっショ･･･。

なのに何故目の前に猫のコスプレをした姫が立っているんだ？


内心穏やかでない俺の気も知らずに、姫はにこにこと俺を見上げている。

ク･･･クッソ可愛いっショ････っ！




「巻島先輩。トリックオアトリートですよぉ」

「ショっ！？････あ、ああ。今日はハロウィンか」




海外では子供のイベントだが、日本では子供から大人までが盛り上がるイベントだったはずっショ。

ああ、でも姫のこの姿はどう見ても子ど････いや、やめとくか。




「ケーキならあるっショ」

「ケーキっ！」

「確かいちごのだったはずっショ」

「いちごっ！」




姫は嬉しそうに俺を見上げてピョンピョン跳ねる。

クッソ可愛すぎるっショ･･･っ！(２回目)


冷蔵庫に入れてたケーキを紅茶と一緒に出してやると、姫は目を輝かせた。

コトリと皿を置くと、マテをされた犬のように俺を見上げて合図を待っているが、何かこのままケーキを食べさせるのは何となく癪に障るっショ。




「姫。トリックオアトリート」

「ふぇ？え？」

「トリックオアトリート」

「え･･･。あう。お菓子、持ってないですよぉ･･･」

「そうか。そりゃ残念っショ」

「････ぁっ」




俺は姫の持っている小さなフォークを取り上げた。

姫は、ケーキが食べられないと思ったのか、涙目でしょんぼりと俺を上目遣いで見上げている。


ク････っ！

クッソ可愛すぎるっショ･･･っ！！(しつこい)


俺は姫の前に置いたケーキの上のいちごをフォークに刺すと、姫は零れそうなくらい涙の溜まった目になった。




「ほら。あーん。口開けろ」

「っ！あーん」




今度はキラキラした目で嬉しそうに開けた姫の小さな口にいちごを入れてやると両手を頬に当てて嬉しそうに咀嚼する。

や、やべぇ･･･これ俺の方がダメージくらってるんじゃねぇか･･･？

しかも、一度だけのつもりが、姫は可愛く口を開けて次の『あーん』を待っている。


俺は羞恥心と戦いながら、ケーキが無くなるまでひたすら餌付けを続ける羽目になってしまった。

姫は満足そうに紅茶を飲んでご満悦っショ。




「にしても、よく出来た耳っショ」

「そうですよぉ。今日の私は猫さんなのです」

「クッハ。そうか、んじゃあ。ニャーと鳴いてもらわないとっショ」




冗談だけどこれくらいからかうくらいならいいだろう。

俺を困らせた罰っショ。




「にゃぁ♪」

「ショっっ！？」

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