信頼 ページ10
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「…なにか、自分を追い詰めてるような音がした」
「……は?」
自分を追い詰めてる、音?
「俺、耳がいいから。呼吸とか鼓動の音で、人が何を考えてるのかわかるんだ」
なにそれ。耳がいいとかの次元じゃないのでは。
「Aちゃん、水の鬼が怖いんでしょ?」
「ッ!」
「Aちゃんが水の鬼に何を感じたのかはわからないけど、でも、Aちゃんなら絶対倒せる!お、俺も奥の鬼、絶対倒すから!だから、」
「……ありがとう…」
そうだ。
怖いのは私だけじゃない。
それに…、それに
「善逸がそう思ってくれるなら、そうだよねっ」
私なら倒せると、信じてくれる人がいる。
信じて、背中を任せてくれる。
「…行ってくる」
息を吸って、湖の中に飛び込んだ。
霞湖は相当深く、月明かりだけが頼りな今は真っ暗だ。
視界は頼りにならない。
水をかき分けるような音、そして鬼の気配。
それだけが頼りだ。
「クククッ、稀血が自ら飛び込んでくるとはな」
水中なのに鬼の声はよく聞こえた。
よく目を凝らすと、揺れる水の向こうに赤い双眸が光って見える。
「お前を喰って、あの方に…」
目が慣れてくると、ぼやける視界でも鬼の姿をとらえることができた。
人型の鬼だ。爪が長い。
おそらくあの爪で攻撃してくるのだろう。
「む…?お前、水中で息ができるのか。妙な呼吸をしおって」
なめるなよ。
こちとら太陽に一番近いと言われているあの陽光山に住んでいたんだ。
中腹より上にある実家と頂上付近にある神社を行き来して、かつ神社での修行の日々。
特別な呼吸法でもしてなきゃ、酸素がほとんどないあんな場所で生きていられるか。
「まあいい。そっちから来てくれたせめてもの礼だ。苦しくないよう一息に殺してやる」
来る。
何枚もの御札をばらまくように取り出す。
私を囲むように散らばった御札の中から一つ手に取って小さく口を開いた。
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hinata20070219(プロフ) - 私も善逸とむいくんが推しなんです! (2020年5月12日 3時) (レス) id: feb521b802 (このIDを非表示/違反報告)
ひにゃたこ - Alice@夜未さん» 続編?!凄いですね!読むのが楽しみです(*^-^*)いつもいつも素晴らしい作品をありがとうございます(≧∇≦)夜未さんもこの小説も大大大好きですッ! (2019年9月8日 19時) (レス) id: 2190e9e698 (このIDを非表示/違反報告)
Alice@夜未(プロフ) - ADAMASさん» 鬼滅は声優豪華すぎてビビりましたw 夢主の呼吸法は後々明かされる感じになるので、ぜひぜひこれからも読んで確認してください! (2019年9月7日 20時) (レス) id: 309172d3e5 (このIDを非表示/違反報告)
ADAMAS(プロフ) - Alice@夜未さん» 夢主ちゃんの呼吸法が気になってます。後々判明する感じですか? (2019年9月7日 18時) (レス) id: 2e674b225a (このIDを非表示/違反報告)
ADAMAS(プロフ) - Alice@夜未さん» ここから原作沿いになるっぽいですね。続編楽しみにしてます!あとアニメの話ですが柱の声優さんたち豪華すぎますね!甘露寺さんは花澤香菜さんとなんとなく予想してましたがドンピシャで当たった時謎の高揚感がこみ上げてきました笑 (2019年9月6日 1時) (レス) id: 2e674b225a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Alice@夜未 | 作成日時:2019年8月14日 16時