【鬼滅の刃】陽光の巫女

霞湖 ページ8

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「ちょ、ちょっと待ってよAちゃん！」


「待ちません！もう日が暮れてるんだから急がないと！」
　


霞湖まであと一歩といったところで善逸が座り込んだのが数分前。
　
　
最初は待ってあげたけど、いつまでたっても怖がって動こうとしない善逸。

埒が明かないので今は引きずって移動している。



「よく考えてよ！こんなに霧が濃いうえに、Aちゃんは鬼を引き付ける体質なんでしょ！？ふ、不自然に水がはねる音もするし、絶対危ないって！」

「体質っていうか稀血！」

　

ここに来るまでにお互いの体質について話した。
　

私は稀血の中でもさらに特別な血らしい。

私一人を喰うだけで、普通の人間数百人程度の栄養が取れるとか。
　

そりゃ鬼も私を狙うわけだ。
　

善逸の人並外れた耳の良さも聞いた。

その耳で危機察知できると思うとなかなか羨ましい体質だ。



「ぐずぐずしてると、それこそ他の鬼も寄ってきちゃうでしょ。善逸の言う通り、霧が濃くて見通しが悪いから他のが来る前に片付けないと……ッ！」

　
鬼だ。

鬼の気配がする。
　

突然立ち止まり、黙り込んだ私に善逸が不安そうに顔を上げる。
　

善逸は不自然な水の音、と言った。

ということは霞湖の中に鬼がいるということか。




「ね、ねぇAちゃん…。なんか、足音しない？」

「え？」
　

右側をしきりに気にする善逸。
　





まさか…
　


怖がる善逸を立たせて、木々の間を縫うように右へ移動していく。







「……いた」


「イッ、いるの…？いちゃったのぉ…！？」
　

木の幹に身体を隠して覗き込むように右を見ると、奥の方に巨大な影が見えた。

まだ距離はあるが、稀血の匂いに気づかれるのは時間の問題か。
　

でも、湖の中に鬼がいるのもわかっている。



「に、二体もいるよぉ…ッ！」


「……善逸」

「無理ッ！絶対無理！」


「まだ何も言ってないのに伝わるなんて、以心伝心だね！頑張って！」

「Aちゃぁあああん！？それはないよぉお！！」

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