【鬼滅の刃】陽光の巫女

鼓舞 ページ4

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「…あ、あの……」
　

絶句している男の子に声をかけて、肩に手を置いてみる。

と、一瞬の間の後くるりを振り返った男の子は数歩後じさった。



「き、君、最終選別の時にいた巫女さんだよね…？」


「え、あ、はい。陽光神社の巫女、巫(かんなぎ)Aです」

「あっ、俺は我妻善逸。助けてくれてありがとう…」
　


うつむく善逸は悔しそうに顔をゆがめている。


と思ったら、「俺、弱いからさ」と自嘲的に笑った。
　


…いやいやいや


さすがにそれは損すぎる考え方すぎないか？




「お礼を言いたいのはこっち。私のこと守ってくれてありがとう。結構嬉しかった、よ？」


「…え？でも最終的に倒したのはAちゃんで、俺、弱いからなんにもできなくて…」
　

善逸のその言葉に、一つ大きなため息をついた。



「あのね善逸。さっきから自分のこと弱い弱いって言ってるけど、全然そんなことないじゃん」
　

ピシリ、と善逸が固まったのがわかった。

何事、と構える私に対し、全力で真顔の善逸。




「Aちゃん、思ってもないことは言わない方がいいよ。技もろくに使えない俺が強いわけないでしょ？慰めてくれるのはありがたいけど、適当なことは言わないでほしいかな」


「だぁああもう！！ぐちグチぐちグチうるさい！」

「ヒェッ」
　

善逸の両肩をがっしり掴んで顔を寄せる。



「私は思ってもないことだって適当なことだって言ってない！」


「そ、そうなの？てかその怖い顔やめてくれない？」
　

怖くて足の力抜けるんだけど、と涙をこぼしながら座り込む善逸。

さすがにかわいそうになって怖い顔はやめてあげる。


「善逸はちゃんと強いよ。じゃなかったら私のこと庇うはずないもん」
　


もし私が善逸の立場にいたとする。
　

自分じゃ敵わないと思って逃げているときに、その鬼を倒そうとしてくれる人が現れたならどうするか。





「…私だったら、逃げる。もしその人が女の子でも、年下でも、私は庇うなんてしないし、できない」
　



助けて

私の代わりに倒して


そう言ってその人に縋り付いてしまうだろう。
　



でも、善逸は違った。
　

鬼が怖くて逃げてきたのに。

助けてって叫んで逃げてきたのに。



私を、女の子をかばって戦おうとしてくれた。






「強いんだよ、善逸は」

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