【鬼滅の刃】陽光の巫女

馬鹿 ページ25

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「Aちゃん避けてッ！！」



隊員の刀を押しのけて横に転がる。


後ろから振り下ろされる稲妻模様の刀が視界をかすめた。




「善逸くんに愛執染着をかけても効果が薄かったのよねぇ。アタシよりも可愛いと思う人がいたからだと思うの。……気に食わない」
　

一度大きく後退して状況を確認する。
　

何かをこらえるように力を入れている善逸。

他の隊員と共に私に向かってくるが、その動きは緩慢だ。
　

私に話しかけられることからしても、完全に洗脳はされていないんだ。
　



いや、その前にどうして善逸がここにいるの？
　

宿屋ではるかちゃんと一緒に居てあげて、って言ったはずなのに。



「ご、めんAちゃん…ッ。俺も、はるか、ちゃんも心配で…、一人じゃ、どうしてもし、心配で…ッ！」

「ッ！」
　


そうだ。善逸はそういうヤツだった。
　

自分に自信がないくせに、女の子のことになると本気で心配して助けようとする。

自分の強さにも気づいてなくて、だから自己犠牲だって厭わない。


「…馬鹿じゃないの……ッ」
　


本当に、馬鹿みたいに優しくて


馬鹿みたいに、残念な奴だ。



「俺、ほんと…、Aちゃんのことになると…、本物の、馬鹿になるみたい、だな…」
　


だんだん善逸の動きが速くなってくる。


「善逸…？ぜ、善逸ッ！」





「…Aちゃん………、A、ちゃん…？」

　

眼の光がなくなった。


力を入れていたために生じた震えもピタリと止まる。







「……だれ、だっけ」

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