【鬼滅の刃】陽光の巫女

嫌悪 ページ21

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「毘売さんの顔、思い出せる？」


「は？そりゃ、さっき見たばっかだし思い出せるけど…」

「すごい可愛かったよね」

　
突然の言葉に戸惑ったらしい。

お茶を入れる手を止めて、心配そうに私の顔を覗き込んてきた。



「どうしたのAちゃん？」

「いいから」


「…うーん、たしかに可愛かったけど…。そこまで騒ぐほどではない、かな？」
　

俺どうしてあんなに騒いだんだろう。顔近かったから？とか自問自答をはじめる善逸。



「Aちゃんはなんでだと思う？」



「血鬼術にかかってたから」


「………は？」
　


ぽかんと開いた善逸の口にお茶菓子を投げ入れる。


綺麗に入ったから調子に乗って二個三個と投げ入れていく。






「どぉゆうこと！？俺で遊んでないで説明してくれない！？」


「そのつもり」
　


毘売さんからは、鬼特有の濃い血の気配がした。

霞湖の鬼と同等か、もしくはそれ以上の強さであることは間違いない。
　

毘売さんを一目見た時、善逸の眼から光がないように見えたのは、すでに毘売さんの血鬼術にかかっていたから。

おそらく毘売さんの血鬼術は、自身に夢中にさせることで相手の思考や五感を鈍らせるものだと思われる。
　

善逸は毘売さんが鬼だと気づく前に血鬼術にかかり、五感を鈍らされたせいで耳の良さが発揮されなかったのだろう。




「で、でも毘売さんは人間の家族が…ッ」


「……そう。きっと、あの人たちは記憶を改ざんされている」
　

自分を、陽の光に弱い末っ子という設定にしてあの家族に植え付けた。
　


他人の気持ちや記憶を好き勝手に操る血鬼術。



私が、一番嫌いな類の術だ。

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