【鬼滅の刃】陽光の巫女

宿屋 ページ20

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「ね、ねえAちゃん。さっきからなんか怒ってるような音がするんだけど…」


「善逸に怒ってるわけじゃないよ。……部屋で話す」



「う、うん。わかった」
　



しばらく待っていると、宿屋の引き戸からはるかちゃんが顔をのぞかせた。


「はいっていーよ！」
　


言うや扉を閉めて中に入っていってしまう。
　

善逸と顔を見合わせて、恐る恐る戸に手をかけた。



「失礼しまー…」


「いらっしゃいませ！」

「ぅえ！？はるかちゃん！？」
　

さっきとは別の着物に着替えたはるかちゃんが、母親と思われる女性と並んで笑顔を浮かべている。
　

善逸の驚きっぷりに満足したのか、はるかちゃんがこっちに駆け寄ってきた。


「ここ、わたしのおうちなの！」

「そ、そうだったんだ…」


「じゃあわたし、ごはんのお手伝いしてくるねっ」
　

そういって奥へ駆けていくはるかちゃん。

私たちは、はるかちゃんのお母さんと自己紹介をしながら部屋へ移動することに。
　



案内された部屋の扉を開けると、とても広い和室だった。


「あ、あの、私達二人でこの部屋は少し広いと思うんですが…」
　

不思議に思って振り返ると、そこには深々と頭を下げたお母さんの姿。



「春樹のことを探してくれると聞きました。部屋や食事のお金はとりません。どうか…、どうか春樹のことを、よろしくお願いします…っ」
　

なるほど。そういうことか。
　
なんだか悪い気もするが、ここは甘えさせてもらおう。


「そのお気持ち、受け取らせていただきます。…春樹さんのことは、必ず」
　

お母さんはもう一度私達に頭を下げると、廊下を戻っていった。
　


部屋に入って座卓に座る。

お茶菓子を手に取って口に放り投げた。美味い。


「ねー善逸」
　
二人分のお茶を入れてくれている善逸に話しかける。





「毘売さんの顔、思い出せる？」

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