【鬼滅の刃】陽光の巫女

失踪 ページ17

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「どう？おいしい？」

「うんっ！」
　

向かいに座っている善逸も、おはぎをおいしそうに食べている。


「ん…、おいしい…！」
　

戦闘で疲れた身体に甘いものはよくしみる。

甘味処にきて正解だったな。
　


すっかり甘味を食べ終え、食後のお茶をいただいていると、はるかちゃんはまた暗い顔をして私を見上げた。


「お姉ちゃんたちは、おにがりさまなんだよね？」
　

そうだ。おいしい甘味に夢中になっていたけれど、ここに来た理由ははるかちゃんの話を聞くためでもある。
　
この町に潜んでいる、鬼の話を。



「おねがい…っ！お兄ちゃんをっ、はるかのお兄ちゃんをさがしてくださいっ！」


「お兄ちゃんを、探す？」
　


はるかちゃんは、涙をぽろぽろ流しながら説明してくれた。
　

ある日の夜、はるかちゃんのお兄さん…春樹さんは用事で外に出かけて行った。でも、今まで夜の町に出ていくなんてことはしなかったらしい。


不思議に思っていたご家族の嫌な予感は案の定的中。

その日から春樹さんが帰ってくることはなく、今日で三日になるという。



「お兄ちゃん、ながい間おうちにかえってこないこと、はじめてなのっ…」
　

よしよしと頭をなでながら涙を拭いてあげる。
　

小さいはるかちゃんにとって、大好きなお兄ちゃんが長期間帰ってこないのは不安だろう。

しかも突然のこと。怖くて当然だ。



「た、たしかに鬼の可能性が高いと思うけど…。はるかちゃんは、どうして鬼の仕業だって思ったの？」


「善逸、それは…」
　

陽光神社には鬼滅の教えが伝わっていたし、日輪刀の原料もとれるため鬼殺隊の偉い人が挨拶に来ることもあった。

だから私は鬼のことを知っていたけど、普通に町や村で暮らしている人は鬼の存在なんて広まっていないはずだ。


それなのに、はるかちゃんが鬼のことを知っているのは…




「……まえから、このまちの男の人がいなくなっちゃうことがあったの。それで、おにがりさまが何人かここにきてくれた」
　

やっぱりそうか。
　


それでも春樹さんは消えてしまった。


きっとその隊員さんたちは…ッ。





「……お兄ちゃんに…、あいたいよう…っ」
　


震えるはるかちゃんをそっと抱きしめる。


神社から出ていくときに、母がしてくれたように。





「大丈夫だよはるかちゃん。私たちが、必ずお兄ちゃんを連れ戻してあげる」

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