〇≠無の証明Ⅳ－４ (ページ40)

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「でも松本さんセクシーでヤバイってのはすげー聞こえてくる」
「ちょっと！また勝手に！」
「だからそういう声はうるせーんだよ！どうやっても聞こえるの！めんどくせえ！」

松本さんはそれをきいても、アハハって笑って聞き流してる。慣れてるのかな。

「Aが俺のこと好きってのはちょっとありえないし、俺が好きだって言ったのは虫を追い出すためだったから」
「……」
「俺とこいつは今までもこれからも何も進展しないし有り得ない！宜しくどうぞ！だからこの話はこれで終わり！」

そうまくし立てて櫻井さんがロールケーキを頬張った。
「うめぇ」

ロールケーキにデレデレしてる。

そうだよね。
仕事しづらいもん。
言い方はともかくこうやって否定してくれてよかった。

「そんなことより大野さんの力のことについてチョット確認したい」

松本さんが皆に、そういった。
私達の恋路を『そんなこと』呼ばわりした。まあいいけど。

「鎌の男、見えた人」
私と相葉さんがパッと手を上げて、首を傾げるように櫻井さんが手を上げた。

「翔さん見えた？」
「いや、なんか……はっきりとじゃなくて、もやもやした……黒っぽい塊と、あとその黒い塊から男の声ははっきり聞こえてた」
「へぇ。大野さんは？」
「何も見えない」
「ニノも？」
「俺は自分の気は見えてる、跳ね返ってるのとかは手応えでわかる感じ。式は飛んでいったのに跳ね返されたのがわかった」
「へぇ」
「図太い霊だったよね、自分は神と同格と勘違いしてたんだな」

二宮さんがそう言った。

「大野さん、今まで霊が見えなかったのは、相手が逃げるからか門に吸い込まれてチャンスがなかったからだと思ってたけど」
「うん」
「どうやら全く見えないってことが判明した」
松本さんがクスクス笑ってる。

「……なんか嫌な気分」
「いいんだよ、触っただけで悪霊退散できるんだから！」
櫻井さんがすぐフォローした。
やっぱりお母さんだね。

そう思ったら睨まれた。
ぷーんだ。

「今回、Aちゃんも頑張ったよね！」
相葉さんがニコニコして言ってくれた。

「ああ、……あれは偶然、というか」
「偶然じゃないよ、Aちゃんはちゃんとマサトシくんの心を救ってあげたんだよ。心を救う方法があるならそっちのほうがいいよ」

相葉さんが微笑んだ。

「霊も斬られるとき……苦しんでるの？」
「うん」

相葉さんの返事に二宮さんが苦笑した。

二宮さんと大野さんが見えない人で良かった。