〇≠無の証明Ⅳ－４ (ページ18)

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「相葉ちゃんここ気をつけて」
「はーい」
大野さんの身のこなしが人間離れしてる。
私達がヤキモキしながら見上げてたら大野さんの動きが止まった。

「ああ、またここに仕掛けある」
「……どんな？」
下から声をかける。

大野さんが二階に視線を上げた。
「ここに落ちてる板、ちょっとでもずらしたらネットが緩んで木材が落ちる仕掛けだね、何本あるんだこれ」

大野さんが、あはは、って笑ってる。
笑ってる場合じゃない。

「あ、まって」
大野さんが私達を振り返った。

「これ以上行くのちょっとまずいかも」
「どうして……」
「なんの仕掛けからわかんないけど……上にガラスぶら下がってんな、何かのタイミングで落ちるようになってるかも。ちょっと待ってて」

大野さんがまたスルスルと手すりを登って、じーっとどこかを見てる。

「相葉ちゃん、危ないからちょっと一旦一階まで下りて？」

「え、大丈夫？」
相葉さんが少しずつ降りて来て、一階についた。

「おりたよ！」
「ん。みんな危ないから下がってて、ガラス落ちるよ、破片飛ぶかも」

大野さんが2階の踊り場の手すりまで降りてきて、手に持っていた懐中電灯を上に向けてブン！と放り投げた。

そのまま手すりの上でクルンと体の向きを変えて、スルー！と滑り台みたいにすべり降りて、ぽん、と飛び降りた。

と同時にガッシャン！という大きなガラスの砕ける音と、ゴロゴロゴロ！という木材が落ちる大きな音。

それから遅れて上の方の窓からナタが降ってきて、階段で跳ねて私達の足元まで飛んできた。

「わ！」
「ひっ！」
「きゃ」

みんなそれぞれに悲鳴を押し殺して衝撃が治まるのを待つ。

「ナタはだめだよね、下手したら死んじゃうよねぇ」
大野さんがはぁーとため息を吐く。

「丸太はこの量だと避けられないよな、もし直撃してたら骨折で済まない……」
松本さんがゴクリと生唾を飲み込んだ。

「ガラスなんてあんな風に落ちてきたら……下手したら体の一部分が行方不明になっちゃうよ」
二宮さんがへなへなとしゃがみこんだ。

「多分、階段の仕掛けはみっつかな？登ろうか」
「はい」

すぐ近くにあった箒を手にする。

「まだ仕掛けあるかもしれないから、箒使って昇りますか」

櫻井さんがナタを証拠としてチャック付きのポリ袋に入れてさらにタオルでくるんでリュックに仕舞った。

木材やガラスの破片を避けて階段を昇る。
何気なく階段の下を見下ろしたら。

少年がいた。